阪神の坂井信也オーナー(60)が11月30日、近日中にも球団フロントを事情聴取する考えを明らかにした。三浦大輔投手(34)の横浜残留通知から一夜明けた11月30日、神戸市内で取材に応対。三浦の獲得失敗に失望感をあらわにして「南(球団社長)君にもう1度聞かないといけない。(戦力は)これでいいのか」と指摘した。南信男球団社長(53)に今オフの補強の経緯を問いただした上で、新たな補強など、善後策を協議することになる。

 坂井オーナーは、落胆していた。三浦の横浜残留について「電話でちらっと聞きました。仕方がないですね。(三浦は)一生懸命考えて決めたんでしょう。結論は尊重したい」と話した。しかしFAの本命で、今オフ最大の補強と位置づける三浦を取り逃がしたことで、何度も「残念」と口にした。失望感がフロントへの厳しい注文につながった。

 坂井オーナー

 (FA)補強の方針が外れたことは確かだ。三浦君も結論が出たし、外国人(メンチ)も決まりそうだという。これでいいのか。現有戦力をどう評価しているのか。再検討しないといけない。南君、沼沢君(本部長)にもう1度聞かないといけない。

 三浦獲得失敗を期に、フロントの仕事ぶりを再吟味する方針だ。前日29日に真弓監督が「残念です。想像もしてなかった」と話したように、予想を裏切る結果を受けて、電話連絡だけでは納得できない様子。フロントトップとの事情聴取の席には「真弓さんとも会う機会があれば…」と指揮官同席の可能性も示した。その上で、現有戦力では不安との結論がでれば、新たな補強など、善後策を検討する可能性もある。

 坂井オーナー

 若い投手の伸びしろをきかないといけない。ただ淡い期待ではいけない。(活躍の)確信じゃないといけない。

 希望的観測やあいまいな期待ではなく、球団経営のプロとしての責任を伴った意見を求める。坂井オーナーは10月30日のドラフト会議についても「思惑通りにとれたのかどうかも聞かないといけない」と発言。FA補強のみならず、今オフの補強全体について、フロントの考えを問いただす。

 3年総額12億円の三浦獲得資金はプールされた状態だ。球団フロントは三浦獲得失敗にともない、中日からFA宣言した川上獲得を再検討する方針だが、坂井オーナーは「やみくもに次から次へといけない。よく絞っていく時期に入っている」と慎重に話した。その一方で「総合的に判断したい。その上で必要ならやらなきゃいけない」と含みも持たせた。【益田一弘】