ソフトバンクが、今秋のドラフト1位にセンバツV右腕の清峰・今村猛投手(3年)を指名する可能性が23日、高まった。今村は22日の長崎大会準々決勝で敗れたが、ソフトバンクは評価を下げない方針。花巻東・菊池雄星投手(3年)とともに最上位にランクされている最速152キロ右腕獲りへ、万全の準備を整えている。

 ソフトバンクが将来のエース候補として、最速152キロ右腕・今村の評価を最上位クラスのまま、今秋のドラフトに臨むことが分かった。この日、球団首脳は「最終的には今後いろいろ検討してから」と前置きしながら、長崎県大会で姿を消した今村について「(県大会で)負けはしたが(評価が)変わることはない」と1位指名を示唆した。

 今村は今春のセンバツで全5試合に先発し、チームを優勝に導いた。春夏連続の甲子園制覇を目指していたが、前日22日の長崎日大戦で、まさかの完投負け。大舞台での連覇の夢は途切れたが、早くから徹底マークを続けてきたソフトバンクの評価が下がることはなかった。

 183センチの長身から繰り出す最速152キロの直球に加え、スライダーも大きな武器とする今村。すでに完成された投手との呼び声も高いが、ソフトバンクは今後さらに直球に球威が増す「伸びしろ」があると見ている。駒大苫小牧高時代に甲子園を沸かせ、今では楽天を支える存在となった田中に匹敵する潜在能力という位置付けだ。

 花巻東のサウスポー菊池も最上位クラスの評価をしているが、早々と阪神が1位指名を打ち出すなど他球団との競合は必至。今村については広島なども徹底マークを続けているが、単独指名の可能性もあり、加えて地元九州の逸材とあって、他球団に譲るわけにはいかない。

 球団内では指名競合となった場合でも、来季続投が決定的な秋山幸二監督(47)が抽選に臨むことも内定している。センバツV腕獲得へ、着々と調査を進めてきたチームにとって、今村の評価が下がらないのは当然の流れでもある。

 150キロ台の直球を投げ込み、気迫を前面に出す菊池の評価も「10年に1人の逸材」(球団関係者)と最上位クラスだ。球団では今村、菊池の両投手とも、将来のチームを背負う素材として見てきた。今後は他球団のドラフト戦略を見極めた上で最終結論を下すことになるが、それでも今村の存在は絶対的。「ソフトバンク今村」の誕生へ、あとは本番を待つだけだ。

 [2009年7月24日11時36分

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