<巨人3-5中日>◇28日◇東京ドーム

 巨人が中日との首位攻防戦の初戦を落とした。3勝無敗と好調のウィルフィン・オビスポ投手(24)を先発に立てたが、恐竜打線に4発を浴びて競り負け、1・5ゲーム差まで迫られた。3位ヤクルトも勝って3・5ゲーム差まで接近し、巨人包囲網の様相を呈してきた。

 陽気なカリビアンがトボトボと引き揚げてきた。同点の7回2死一塁、先発オビスポが森野に勝ち越し2ランを浴びた。「スタミナも全く問題なかったが…」。ベンチでお人形さんのように固まってしまった。投げ合った相手は球界を代表する左腕チェンで、控えるブルペンも盤石。勝負欲おう盛な育成出身の助っ人は、終盤に失った2点の重みをよく知っていた。お株を奪われる本塁打攻勢で首位攻防第1Rを落とした巨人が、中日に1・5差と迫られた。

 オビスポが食らった3本塁打はすべて失投だった。4回小池、5回ブランコのソロは、ともに外角低め要求のスライダーが真ん中付近に入った。7回森野の2ランは、内角低め要求の直球が逆球となり、外角やや高めの絶好球だった。「ホームランはみんな高くいってしまった」とショボンとした。ここまで稼いだ3勝は広島、横浜と下位が相手。荒れ球と球威で勝ってきた。だが打てるゾーンをしっかり絞る意識が浸透した中日打線は、甘い球を見逃してはくれなかった。

 原監督が「中5日で、投げられる状態だったから」と事もなげに説明したように、自力でつかんだ大役だった。敗戦処理からスタートし好投を重ね、先発ローテに定着した。前半戦終盤、登板機会のなくなったゴンザレス、グライシンガーが相次いで登録を外れた。外国人枠の利を最大限に生かし、後半戦開幕投手の座を射止めた。彗星(すいせい)のごとく現れ、続けた快進撃がストップ。29日にはゴンザレスが先発予定で、入れ替わりで2軍調整することになった。オビちゃんは「きちんとコーナーに投げられるよう修正したい。外国人枠も理解している。気持ちを切らさず頑張る」とけなげだった。

 1点差に迫った直後の8回には、越智が和田にソロ本塁打を打たれジ・エンド。5月15日に最大9ゲームあった中日との差が一気に詰まった。原監督は「いい集中の中で戦ったが。相手が失投を逃さなかった。その差が出た」と総括した。寸分のスキも見逃さないオレ竜。細心の注意を払い、しのぎ合いを制すしかない。【宮下敬至】

 [2009年7月29日8時51分

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