日本ハム・ダルビッシュ有投手(23)が、クライマックスシリーズ(CS)第2ステージ(21日開幕、札幌ドーム)の登板を回避することが16日、決まった。帯同中の宮崎でのフェニックスリーグのソフトバンク戦(アイビー)を視察に訪れた梨田昌孝監督(56)と、この日に会談。離脱理由のコンディション不良が改善されないため、登板なしの方針が固まった。絶対的エース不在のまま、短期決戦へ臨まざるを得なくなった。

 暗く、重い結論が出た。ダルビッシュのCSでの勇姿は、見られなくなった。梨田監督は淡々と、最終決定に至った会談の結果を明かした。「うまく調整が進まずに、CSに関しては、やめておこうとなった」。この日のソフトバンク戦の試合前練習で、同監督へダルビッシュが状態を報告した結果、CSでの復帰登板を断念することが、正式に決まった。

 終わりが見えない戦いになった。9月20日オリックス戦の登板を最後に、同23日に出場選手登録を抹消。その後は今月5日にブルペン入りしただけで、この日も本格的な投球練習を再開できなかった。同監督は「体重を乗せる時にちょっと(違和感が)あるみたい。ちょっと状態がね」と現状を説明した。抹消理由だった左腰の張りなどの状態が好転せず、苦渋の決断へと至った。

 疲労蓄積が根本的な要因と見られ、練習メニューを軽度にするなどして解決を目指してきた。しかし約1カ月を経ても平行線をたどったまま。ダルビッシュも「良くないです。あまり変わりはありません。それだけです」と複雑な心境をのぞかせた。18日まで帯同するフェニックスリーグでは当初、ブルペン投球、実戦登板する予定だった。しかし本人が「それはないと思います」と完全否定。吉井投手コーチも「ホンマに白紙やね」と復帰プランの練り直しを余儀なくされた。

 今後は18日に札幌へ戻る主力組とともに帰札。1軍へ帯同しながら事態の推移を見守ることになった。CS突破を想定し、31日開幕の日本シリーズへと照準を合わせ直すことになったが、その場合には実戦を経ずに、ぶっつけ本番になる。「(日本シリーズ復帰を)あきらめてもいい感じもあるけれど、7戦まであるので…。ファンの人も期待しているだろうから」。祈るように話した梨田監督だったが、最悪、シリーズの登板回避まであり得る。

 6試合制のCS第2ステージへ、ダルビッシュを欠いたまま臨むことになる。梨田監督は「シーズン後半もこういう感じだった。結束力を持ってやるしかない」と腹をくくった。総力戦で、唯一無二の大黒柱の穴を埋めるという、いばらの道を日本ハムが進むことになった。【高山通史】

 [2009年10月17日11時33分

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