事実上の合格だ!

 中日のドラフト1位岡田俊哉投手(18=智弁和歌山)が11日、沖縄・北谷球場の1軍キャンプに初参加した。ブルペンでは首脳陣が見守る中、正捕手谷繁を相手にオール直球の41球を投げ込んだ。スピンの効いた球に周囲は絶賛。体力強化優先のため12日からは再び2軍キャンプに戻るが、将来のエース候補に期待されるドラ1左腕にとって、最高の1軍デビューとなった。

 味わったことのない緊張が体中を支配した。背後には落合監督と、フォークボールの神様と呼ばれたOBの杉下茂臨時投手コーチ。さらに右後ろには森ヘッドコーチ。そしてミットを構えたのは正捕手谷繁だった。「お願いします!」。ブルペン中央で深々とお辞儀した岡田は、こわばった表情で腕を振り下ろした。きれいなフォームから回転の効いた直球を41球。ボールはほぼ構えたミットに収まった。誰もが尻込みするような状況で幼さが残る18歳は、本来の力を発揮してみせた。

 岡田

 心臓が痛いです。谷繁さんに受けてもらって全力投球が出来ました。昨日の夜(1軍キャンプ参加を)言われた。こんな経験は出来ないので、自分の持てる力を全部だそうと思った。(落合監督からは)『あまり無理するなよ』と言われた。自分の投球のことでいっぱい、いっぱい。甲子園より緊張しました。

 たった41球。時間にして15分程度。だが、ボールを受けた谷繁は岡田のセンスの高さを感じ取った。谷繁は「やっぱりドラフト1位だね。野球センスを感じる。後ろに監督、ヘッド、杉下さんがいるのに(真ん中に)球が集まる。スピンの効いた球だった。緊張したかって聞いたら、目を丸くして『はい!』って言ってたよ。これからプロの体を作っていけば良いんじゃないか」。杉下臨時投手コーチも「シゲ(谷繁)とも話したけど、ひと夏超えたら体が出来てくる。そうすればもっと良い球がくるだろう」と高い評価を口にした。まさに絶賛の声が相次いだ。

 現段階ではほぼ満点に近い出来だった。落合監督は岡田の投球練習を見届けると笑顔でブルペンを後にした。森ヘッドコーチは「見るべきものがあったから呼んだんだ。ただ、まだ筋トレもしていないし、このまま(1軍キャンプに)いたらパンクしちゃうよ。確かに良いボールは持っている」と素質を認めた。12日からは2軍キャンプが行われている読谷球場に戻り、体力強化に励む。最高の形で“1軍デビュー”を飾ったドラ1左腕は、この日の自信を胸に成長を続ける。【桝井聡】

 [2010年2月12日10時43分

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