ついにプロの打者に剛速球を投げ込む日が来た。西武ドラフト1位ルーキー菊池雄星投手(18=花巻東)が、23日に注目のフリー打撃に初登板する。オフのこの日、胸を借りる相手が後藤、松坂の右打者2人に決定し、闘志を燃やした。オープン戦など実戦登板へのテストの意味合いが込められ、開幕1軍生き残りへの試金石となるか。雄星には今後を左右する重要なマウンドとなる。

 フリー打撃登板で右打者2人と対戦が決まった雄星は「右の方が得意です。インコースも攻めやすいし、コントロールもつけやすい」と自信を見せた。8年目の後藤は、21日広島戦で本塁打を含む3安打3打点と絶好調。雄星とプロで初めて対戦する打者になった後藤は「バットを折られないように頑張る。でも当てられたらバットじゃなくて骨が折れるかな」と余裕たっぷりに胸を貸すつもりだ。

 黄金ルーキーが初めて打者と対する注目のマウンド。森打撃コーチも、どの打者と対戦させるか悩んだが「いきなり左はしんどいから右を2人。投手コーチが楽に投げさせたいと言ってたし、いきなり大物は大変。それで好調な中堅と若手でね」と説明。7年目の松坂も、キャンプ最初のシート打撃でチーム“1号”を放っている打力が持ち味。実力を図る相手として、申し分ない。

 春季キャンプは26日が打ち上げ。時期的にも単なるフリー打撃登板ではなく、今後の実戦登板テストを兼ねた重要な位置付けとなる。潮崎投手コーチは「(合格なら実戦登板も)ないことはない」と明かした。本来の実力を発揮できず、一時はキャンプ後の2軍再調整が検討されるほどの状態だったが、20日のブルペン投球で一変。渡辺監督が打席に立つと、目覚めたかのように内角に威力ある速球を投げ続け、首脳陣の評価も急上昇した。雄星は「味方なので内角はあまり投げられないかも」と控えめながら、実戦登板、開幕1軍をかけた真剣勝負。遠慮せず、今ある100%の力を出し切る。【亀山泰宏】

 [2010年2月23日8時14分

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