阪神城島健司捕手(33)が、タテジマでの初マスクの準備を終えた。高知・安芸キャンプ3日目の22日、座ったままの二塁送球を初めて披露した。捕球から二塁までの送球タイムは1・9秒台。調整段階で早くも盗塁阻止の目安とされる2秒を切り、「全部刺しにいくよ」と盗塁阻止率100%の目標まで掲げた。実戦での初守備は25日の紅白戦の見込み。マリナーズ時代の07年にはメジャー1位の盗塁阻止率4割6分5厘をマークした男が、3・26の開幕までに強肩を完ぺきな状態に仕上げる。

 城島が、うわさのスペシャルスローを解禁した。シートノックの準備にあわただしいメーン球場。プロテクター姿で座って、ボールを握った右手でグラブをたたく。捕球のしぐさをしてから、座った状態で二塁送球。左ひざを完全に地面につけて、上半身の力で投げた。3球続けて捕手の小宮山に投手役を頼む。今度はボールをキャッチして再び3球。異質な光景にファンからどよめきと拍手が起こった。

 城島

 (実戦で守備につく前に)あれをやっておかないといけないから。今日は投げる予定じゃなかったけどね。遠くに離れて投げられた。でもまだまだ。

 鍛錬した肉体と強肩を持つ男だけに許される特別な技だ。「日本人にはなかなか難しい。肩、ヒジの強さがある」と吉田バッテリーコーチ。下半身が固定されるため、上半身のフォームを固める若手が行う例はある。同コーチは「理にかなったフォームで投げられるが、山なりになる。ジョーにみたいにはいかない。すごいね」とうなった。

 もちろん珍しいだけじゃない。この日、横浜の酒井光次郎記録・査定担当の計測で送球タイムは1・9秒台。盗塁阻止で捕手の目安とされる2秒を早々と切った。盗塁阻止は、投手→捕手→二塁の合計タイムで3秒以内が目安。城島はシーズン中に1・8秒台をマークでき、しかも制球も安定。投手にクイック投法の負担を減らせる効果もある。

 城島の盗塁阻止に対する考えはシンプルだ。07年にメジャー1位の盗塁阻止率を記録した男は「(今季は)全部刺しにいくよ。全部刺しにいって半分も刺せん。全部打ちにいって打率3割。5割が目標なら2割5分にしかならない。タイミングと状況によっては(座って)投げる」と言い切った。盗塁阻止率4割クリアで一流とされるだけに、吉田コーチは「5割も殺したら、ほとんど殺しているイメージになる」と説明した。

 衝撃の初スイング弾から一夜明けて、スペシャルスローも初披露した。待望の初マスクは25日の紅白戦で3イニングの出場を予定。「これからオープン戦の間、出る時に肩の状態を仕上げていく。(開幕まで)あと1カ月あるからゲームに出て恥ずかしくないようにしていかないといけない」。攻守で大きな効果をもたらすジョーが実戦モードに突入する。

 [2010年2月23日11時33分

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