<日本ハム8-1ロッテ>◇13日◇東京ドーム

 最終関門を、軽々と突破した。日本ハム・ダルビッシュ有投手(23)が4年連続での開幕投手の大役成就へ、万全ぶりをアピールした。オープン戦ラスト先発のロッテ戦で7回1失点と上々の内容。注目の大砲・金泰均に特大弾を献上したが、それ以外は盤石だった。「涌井には参考になったと思います」。ロッテの開幕戦の相手で、先発濃厚な親友へのエール付きの快投で仕上げを完了した。

 今季の新たな名勝負に手応えが詰まっていた。昨年3月のWBCで1安打2四球の金泰均との再戦。2回、まずは先手を奪う。1球だけカーブを交えたが、ほか4球は直球系の真っ向勝負。カウント2-2と追い込み、外角143キロ直球で空振り三振に切った。「真っすぐで空振りするとは思わなかった」と驚くキレでほんろう。やや苦悩していた、投球の絶対的な軸である速球の感触をつかんだ。

 2度目の顔合わせの4回は、外角を狙ったその直球が、少しシュート回転しながら内角へ入る制球ミス。左翼席へ推定飛距離140メートルの特大弾を浴びた。直後に苦笑いして「ほかの打者なら打ち損じることもあるけれど、一発で仕留めるのはさすが。素晴らしい」と持ち上げた反面、確信も得た。キャンプ中から要警戒してきたが「きっちりいけば抑えられる」と今後の戦いの青写真も描ける、充実の打ち上げになった。

 直球の球威、キレはまだ理想に到達していないが、その中での対応策も見つけ、この日も試した。ツーシームなどの直球系の握りなどを工夫し、ムービング系の球種を駆使して、その不満点を補った。昨季終盤の度重なる故障を糧に、置かれた状況への適応力を上げた証明もした。始球式のゲスト、タレント矢口真里は「ダルビッシュさんが近すぎてプレッシャーでした…」。百戦錬磨の“元モー娘。”も震え上がらせたオーラ十分の23歳は、威風堂々と満開の春へ向かう。【高山通史】

 [2010年3月14日10時58分

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