<阪神5-4ロッテ>◇24日◇甲子園

 サヨナラのジョーだ。阪神が今季3度目の劇勝で連敗を3で止めた。同点の9回、新3番マートンの右前からチャンスをつくり、最後は満塁で6番城島健司捕手(33)がセンターへサヨナラ犠飛を放った。城島自身、今季2度目のサヨナラ演出だ。真弓監督が大幅に打線てこ入れを敢行。7番降格した鳥谷も適時打を放ち、カンフル剤が効いた虎がよみがえった。

 阪神城島健司捕手(34)は、バットを持ったまま、一塁ベース手前で固まった。同点の9回1死満塁、藪田の低め直球をすくい上げて飛距離十分の中飛を放った。初の3番で突破口を開いた三塁走者マートンが生還してサヨナラ勝ち-。だがその瞬間、視界をよぎった二塁走者新井の走る姿に自分の目を疑った。

 城島

 一瞬新井が動いたので、まさかマートン(の生還)より先にアウトにならないよなと、喜ぶのを控えた。みんなもベンチで(出ていいものか)ガクガクなっていた。本当は後ろの走者はあまり関係ないプレーなので動いちゃいけないですけど。新井があそこで飛び出してしまったら…。

 仮に新井が先に三塁でタッチアウトになれば、マートンの生還が帳消し。延長に突入する場面だった。「マートンが最後までしっかり走ってスライディングもした。あれはマートンのファインプレーです」ときっぱり。一塁付近の歓喜の輪に少し遅れて駆け寄った新井には、金本らと一斉に「お前、なにしとんねん!」とツッコミを入れた。新井もさすがに苦笑いするしかない。「突っ込まれてもしゃーないよ。普通はあり得ないプレーですからね」とジョー。最後に訪れた小さなハプニングを満面の笑みで振り返った。

 交流戦は11年間所属したパ・リーグの球団との再会マッチだ。「パ・リーグをよく知っているので、懐かしいなと思います」。この日はダイエー時代の同僚井口とも日本で初対戦した。「(井口が)ホワイトソックスの時以来かな。力のあるバッターだからね」。初回はその井口に先制打を浴びた。7回には3点のリードを追いつかれ接戦となった。

 ただこの日は打順の大幅変更が敢行されており「選手がやることは変わらないけれど、何とかして流れを、勝とうというのが監督、首脳陣の考えはみんなに伝わっている」。3回2死では中前打で出塁して今季初盗塁も記録。「おまけです」とおどけたが、勝利のために走攻守で力を注いだ。

 今季初めての4連敗危機を自分のバットで救った。好調ロッテ打線に打ち勝って先勝。お立ち台では「ひとつ勝ったぐらいじゃ借りは返せていない。交流戦は負け越してますから。(明日は)当日券が残っているので、応援お願いします」と呼びかけて、対ロッテ連勝を誓った。【益田一弘】

 [2010年5月25日11時59分

 紙面から]ソーシャルブックマーク