<ソフトバンク4-2中日>◇29日◇福岡ヤフードーム

 ソフトバンク本多雄一内野手(25)が、1歩目で大仕事を確信した。「送球がベースの上に来ない限りはセーフと思いましたね。盗塁はスタートが一番大事なんです」。4回裏。死球で出塁した直後。中日チェンに2度のけん制を受けた。盗塁を警戒し、次打者オーティズの初球が直球系の球になるのも覚悟の上だった。それでも、スタートを切った。打線はそこまで無安打。二塁を陥れる必要があったからだ。

 本多

 出たら、初球にスタートを切る。それだけを考えていた。投手に重圧をかけることが一番大事。自分のスタートを切れるかどうかだけだった。

 今季24個目の盗塁は、試合の流れを大きく変えた。3番オーティズこそ左飛だったが、4番多村、5番松中の2者連続タイムリーへの呼び水となった。秋山監督も勇気を持って、1歩目を切ったことをたたえた。「チェンはモーションが速い。よっぽどいいスタートを切らないといけなかった。本多がいいスタートだった」。左足をアンツーカーの外に出す大きなリードから飛び出した背番号46に目を細めた。

 バットでも白星を呼び込んだ。1点差に迫られての8回裏。1死二塁で前進守備を敷いた中日外野陣の左中間を破る適時三塁打だ。「(打席内で)タイミングが修正できた」。序盤は打撃不振に苦しんだが、打率も2割8分1厘まで上がってきた。本多が足とバットで、白星への扉をこじ開けていく。

 [2010年5月30日11時42分

 紙面から]ソーシャルブックマーク