<横浜7-9中日>◇25日◇横浜スタジアム

 ケガなんて言ってられない!

 右手中指を負傷している中日トニ・ブランコ内野手(29)が強行出場で31号&32号の2打席連続アーチをぶち上げた。3回に1死から初球ストレートを右中間席に運ぶと、4回にはカウント0-3からカーブをフルスイング。弾丸ライナーを左翼席中段に突き刺した。6月19日巨人戦(東京ドーム)以来となる連発。1回にも左前打を放っており、これで今季10度目の猛打賞だ。

 ブランコ

 手は痛かったけど、チームのために一生懸命頑張ったよ。自分としては休むという選択肢はなかったね。練習中は自分のバッティングができていなかったから、この結果には自分でもビックリしているんだ。厳しい試合だったけど、勝つことができてうれしい。

 夜も眠れないほどの痛みだった。右手中指の腱(けん)を負傷したのは22日阪神戦。試合後に自宅に戻り、眠ろうとしても痛みで寝付けなかった。たまらず冷凍庫から氷を持ってきて自らアイシングを施した。この日は右手拳をボクシングのバンテージのように固定し、痛めている中指が動かないように工夫した。まだ痛み残る中での強行出場だったが、気力でバットを振り続けた。

 フォア・ザ・チームの精神は変わらない。ケガはヘッドスライディングの際に三塁ベースに右手中指を強打したことが原因だった。それでも「チームのために全力でプレーすることは当たり前のこと。チームのみんなで喜びを分かち合いたいからね」。この日も横浜スタジアムの土でユニホームのズボンは泥だらけだった。あと2試合。歓喜の時を迎えるその時まで、B砲は全力プレーを止めない。【桝井聡】

 [2010年9月26日11時21分

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