阪神が新井貴浩内野手(33)の一、三塁併用プランを検討していることが25日、分かった。甲子園で真弓明信監督(57)、コーチによるシーズン終了後初となるスタッフ会議を開催。就任と同時に三塁コンバートを打ち出し、ここ2シーズン三塁専属だった新井を、ゲーム終盤ブラゼルの守備固めとして一塁に回す案が浮上したもようだ。新井が一塁に入った際の三塁候補には坂、大和、上本が挙がり、31日からの秋季安芸キャンプで鍛える方針。優勝へ秘策満載で実りの秋にするつもりだ。

 真弓阪神が3年目のV奪取に向け、早くも動き出した。真弓監督とコーチ陣が甲子園クラブハウスに集まり、CS敗退後初となるスタッフ会議を開催。「この悔しさを忘れず、バネにして来シーズンも頑張ろう!」。冒頭、コーチ陣を前にリベンジを誓った指揮官は、しっかりと逆襲のシナリオを描いていた。4番新井の一、三塁併用プラン。久慈守備走塁コーチが計画の一端を説明する。

 「終盤は新井が一塁に行って、三塁に守備固めを、と監督が言うかもしれないね」。新井は真弓監督が就任した09年に一塁からコンバートされ、2年間専属で三塁を務めた。だが来季は終盤ブラゼルが引っ込んだ際、一塁に回るオプションをつくろうというものだ。

 今季はブラゼルが交代した際、関本が一塁を守ることが多かった。だがこの方式では関本の出番が限られ、パンチ力ある打撃が生かせない場面もあった。だが新井が一塁を守れるとなれば、攻撃の幅はグンと広がる。まして一塁は阪神移籍1年目の08年にゴールデングラブ賞を取った得意分野。三塁には小気味いい若手のスペシャリストを入れることで、逃げ切り態勢の内野がグッと締まる。巨人の小笠原が一、三塁を守っているように、攻守に一石二鳥となる併用計画だ。

 終盤の三塁守備固め役、ポスト新井は31日からの秋季キャンプで鍛え上げる。久慈コーチは有力候補に坂、大和、上本の3人の名前を挙げ、ハッパをかけた。「3人には内野をどこでも守れるぐらいになってもらわないと」。3人とも二塁、遊撃タイプだが、安芸ではホットコーナーにも挑戦させる予定。秋季キャンプに参加しない新井の一塁守備は来春以降になるが、三塁守備固め争いは間もなく開戦する。

 今季は重量打線の弊害で、手痛いミスから1点に泣く試合も多かった。反省をもとに、終盤の守備にもこだわって戦う。そしてもっと貪欲に1点を取りに行く。新井の一塁や三塁守備固め起用はその第1弾。来季こそ美酒を味わうために、本気の改革が始まった。【松井清員】

 [2010年10月26日10時36分

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