<横浜7-8中日>◇13日◇横浜

 戦う選手会長が今季初星を力強く援護した。中日森野将彦内野手(32)のバットがうなりを上げたのは4回だ。先発中田賢がスレッジに2本目となる3ランを浴びて5-5同点とされた直後。2死無走者で打席に入るとカウント2ボールから狙い澄ましていた。

 「狙っていましたよ。カウント有利になったし、甘い球がくればと思っていました久しぶりに振り抜けましたね」。

 真ん中やや低めの球をフルスイングすると、打球は右翼スタンドへ放物線を描いた。決勝弾となる1号ソロ。初回の先制中前タイムリー、2回の中前打と合わせて今季2戦目での猛打賞のおまけ付き。リードしてもすぐに追いつかれる苦しい展開の中、3安打2打点で打線をけん引した。

 「投手が落ち着くまでは僕らが打たないといけない。僕らは2試合目だけど、(先発)投手は初めて投げるわけだから」。

 まず投手に気を配った。頼れる選手会長は開幕前、グラウンド外でも矢面に立たされた。セ・リーグ開幕問題。延期を求める選手会の方針には賛成だったが、ファンを失望させるストライキだけは絶対にちらつかせたくなかった。それだけに「ストも辞さず」という報道が出た時には相当に胸を痛めたという。

 この日、球場には野球少年の姿も多く見られた。小学生の頃、当時の大洋のファンクラブ会員だった森野は父親と横浜スタジアムでプロ野球観戦することが大好きだった。だからこそ、18日遅れでも開幕にこぎつけられたことがうれしかった。スタンドの子供たちと同様に、森野の目にも輝きが戻った。【鈴木忠平】