<中日0-2日本ハム>◇25日◇ナゴヤドーム

 日本ハム・ダルビッシュ有投手(24)が、ハーラー単独トップの6勝目を挙げた。中日戦で9回を散発の4安打に抑えた。三塁を踏ませず、11奪三振のピンチらしいピンチを作らせない投球で今季2度目の完封。自己最多タイの6戦6勝で、10日の楽天戦から続ける無失点イニングも26回まで伸ばした。防御率も今季初めて1点台に突入した。

 本場から送られていた熱視線もつゆ知らず軽々、ひねった。ダルビッシュが盤石の自身6連勝を飾った。今季3度目の2ケタ11奪三振を積み上げ、2度目の完封ショー。緻密(ちみつ)な攻撃が特長のオレ竜軍団をわずか4安打、1四球。無抵抗のまま仕留める荒業だ。「(各打者の)調子が悪いと聞いていたけれど、それぞれを見たら一流の打者です」と一蹴しても敬意も忘れなかった。

 バックネット裏には、今オフにポスティングシステム(入札制度)での米挑戦の可能性があるとみている、米ヤンキースのスカウト勢がいた。日本駐在の紀田スカウトに同行していたのは、球界関係者によれば編成トップクラスの幹部だという。紀田スカウトは「私の方からは答えられません」と感想は避けたが、度肝を抜くには十分だった。

 今季最速タイの155キロの剛球を軸に、自由自在に組み立てた。ポイントになったのは、本格導入した右打者の外角へのツーシーム。中軸の和田、ブランコらをはじめとした、先発ネルソンも含めた右打者7人を粉砕。11三振を量産した。

 破竹の進撃が、ステップアップした証明だ。開幕戦で黒星後から6戦6勝。沢村賞を受賞した07年8~9月にかけて以来、プロ入り2度目の快挙になった。この日で26イニング連続無失点。「相手打者のアプローチに対して、いいボールが投げられた」。中日戦は07年から4試合、29イニング連続無失点と、キラーぶりも完全無欠だ。

 プロ入り初のマルチ(複数)安打も放った。「いつ当たるか怖くて」の思いもあったが「2-0だったので1点でも多く取りたい」。初4番で不発だった中田顔負けのフルスイングを連発した。開幕戦は防御率9・00も、急降下の1・86へ。ダルビッシュは、誰も背中が見えない域へと向かう。【高山通史】