<ヤクルト6-5中日>◇13日◇神宮

 落合竜にとってはまさに“神宮の怪”だ。初回に2点を先制しながら守備の人・岩崎達郎内野手(26)のまさかのタイムリー失策で勝ち越され、9回に起死回生の同点弾が飛び出したにもかかわらず、浅尾-岩瀬の必勝リレーで延長10回にサヨナラ負け…。今季チーム最長となる4時間8分の熱戦の末、神宮での戦績は1勝7敗となった。連覇への道に鬼門が大きく立ちはだかっている。

 最後は岩瀬が満塁から相川にサヨナラ打を浴びた。延長10回、2イニング目の浅尾が1死二、三塁とされるとここで守護神を投入したが、引き分けに持ち込むことはできず。「こういう流れだから何とかしなきゃいけなかった。どうも、こうも、結果がこれじゃあ…」。岩瀬がうなった。歓喜に沸く神宮に選手たちはぼうぜんと立ち尽くした。

 どうしても神宮で勝てない。苦手館山から初回に2点を先制する理想の展開だったが、大黒柱・吉見が4回に3-3の同点に追いつかれると、なおも1死二、三塁で信じられないことが起こった。守備に定評のある遊撃岩崎達が正面のゴロを後逸。この失策で2点を奪われ、完全に試合の流れは逆転した。9回には森野の同点弾で同点としたが、粘りも及ばなかった。

 「イレギュラーはしていません。走者が走ったのが見えて、ボールから目を切るのが早かった。守備で使ってもらっているのに情けない」。試合後、岩崎達は猛省した。打者と走者が一体となって重圧をかけてくるヤクルトの攻撃に焦ったのか、落合監督に「守備なら他球団にいけばレギュラー」と太鼓判を押された男のグラブさばきが狂った。

 今季最大6ゲーム差と突き放された落合監督は、それでも選手を責めることはなかった。

 落合監督

 経験しなきゃいけないメンバーばっかりだ。いろんな経験して、成功して、失敗して、それでいいんじゃないのか。あいつらを責めるな。もっとひどいミスをしてレギュラーになったやつはいっぱいいる。

 大島、岩崎達、平田、堂上剛らを積極的に起用している指揮官は先を見据えている。この失敗を糧にできるか-。絶対に負けられない今日の第3戦で、真価が問われる。【鈴木忠平】

 ◆中日が神宮でのヤクルト戦に敗れ、同球場での今季対戦成績を1勝7敗とした。04年に落合監督が就任してから同球場を苦手にしており、勝ち越したのは06年(6勝4敗)、07年(6勝4敗)の2年だけ。通算でも31勝50敗、勝率3割8分3厘。カード勝ち越しは09年8月28日、29日の2連戦2連勝以降ない。