<オリックス2-4中日>◇16日◇京セラドーム大阪

 守道竜が3時間56分の熱戦を制し、2年連続の交流戦勝ち越しを決めた。延長11回に荒木雅博内野手(34)が決勝の中越え2点三塁打。引き分け覚悟だったという高木守道監督(70)に“うれしい誤算勝利”を届けた。好調の荒木は、今日17日の交流戦最終戦で逆転の首位打者を狙う。

 その時、高木監督はベンチで叫んでいたという。「普通のヒットじゃホームにかえれん。谷繁でもかえれるのを打てぇ~」。延長11回1死一、二塁。外野はバックホーム態勢で、極端な前進守備を敷いていた。二塁走者の谷繁は、単打ではかえれない。長打を狙え。そして荒木が見事、将の絶叫に応えた。

 荒木

 もちろん外野の上を越したいと思っていましたよ。中途半端でゲッツーが一番イヤだったので。

 中山の外角高めの真っすぐを狙いすましてジャストミート。懸命に背走する中堅野中をあざ笑うかのように、打球は頭上を越した。谷繁はもちろん、一塁走者の岩崎達まで楽々ホームイン。今季初の三塁打で約4時間の熱闘に決着をつけた。

 荒木

 ソーサが頑張ってたし、何とか勝ってほしかった。ずっと投手が頑張ってたのに、僕らが打てずにつらい思いをしてたので。

 前日まで10試合の平均得点は1・4。この間、敵地では3度の完封負けなど6連敗中で、投手陣を見殺しにしてきた。それほどの極貧打線に、高木監督も「引き分けしか頭になかった」という展開。プロ17年目が男の意地をぶつけ、「勝てるなんてねえ」と、指揮官の期待をうれしく裏切った。

 今日17日の交流戦最終戦で逆転の首位打者をかける。この日のマルチ安打など、期間中の打率は3割3分3厘で、23試合で無安打は2試合だけ。「肩の調子がいいのが一番ですね」。開幕当初は肩が上がらないなど、古傷が打撃に悪影響を与えていた。入念な治療で痛みから解放され、増えた可動域が柔軟なバットコントロールに直結しているという。最多安打とのダブルタイトルには無欲で挑む。

 荒木

 今まで打てなかった分をかえさないと。これからは打線が頑張りたい。

 高木監督

 このゲームは非常に大きい。打ててないんで勝ち越しは十分です。

 3連敗阻止で交流戦は2年連続勝ち越し。三塁側に久々の笑顔があふれた。最終戦は打ち勝ち、首位キープで再開リーグ戦に弾みをつけたい。【松井清員】