前代未聞のダブル解任だ。オリックスは25日、今季限りで退団する岡田彰布監督(54)と高代延博ヘッドコーチ(58)を休養させることを発表した。球団は、22日の退団決定時に今季終了までの指揮を要望したが、前日24日ロッテ戦で最下位が確定したことで翻意。残り9試合でトップ2人を同時に休養させた。監督代行は森脇浩司チーフコーチ(52)が務める。

 岡田監督が、しま柄のポロシャツを見て苦笑いを浮かべた。「オレも準備してなかったからな。だから、こんな格好よ。ネクタイしてくればよかったな」。

 午前の新幹線で、千葉遠征から関西に戻った。自宅で着替えをすませ、ソフトバンク戦に向けて午後に京セラドーム大阪に入った。直後に村山良雄球団本部長から、高代ヘッドコーチとともに解任を通告された。「契約やからなあ、別に」と口にしたが、驚きは隠せない。「あの紙(プレスリリース)を見て。(球場に)来てからやぞ。全然知らんかったな。普通にゲームをやる気できたからな」。

 前代未聞の同時解任だった。通常、監督が途中休養する際にはヘッドコーチが監督代行を務める。現場のトップ2人が不在になるのは、異例の事態だ。高代ヘッドコーチはすでにユニホームに着替えて、この日の先発オーダーを書き込んで岡田監督に見せにいこうとした際に伝えられた。

 まさにドタバタ劇だ。岡田監督は22日ロッテ戦後に球団から来季契約を更新しないことを通達された。同時に残り10試合の指揮を引き続き執ることを要望され、了承していた。「3日前やからな。最後までという、その話を聞いたのは」。

 球団は、わずか1試合で翻意した。雨の中止を挟み、前日24日ロッテ戦に0-5で敗戦。球団ワーストタイの11連敗を喫して最下位が確定。村山球団本部長は「昨日のゲームは、タコの糸が切れたような感じ。目指すものがわかりにくい」。球団史に汚点を残す大型連敗と、好転の兆しがないチーム状態に決断した。

 岡田監督は試合前練習終了後、選手を集めて最後のミーティングを行った。「個々の実力は他球団に劣らないから。ただ負ける、弱いチームの体質がある。そこを何とかすれば、大丈夫だから」と訓示した。

 岡田監督

 3年間で何か感じたこと、勉強になったことを来年からも思い出して、それを生かせるようなことが少しでもあったらオレはうれしい。

 試合開始の1時間10分前に1人で車を運転し、球場を離れた。ラスト9試合を残してオリックスでの監督生活を終えた。【益田一弘】