<中日15-3阪神>◇23日◇ナゴヤドーム

 虎の鉄腕が火だるまになった。5回、中日に好き放題やられた阪神は8点を失った。0-12。怒り爆発の一部ファンがベンチの上に走ってきた。矛先は阪神久保田智之投手(32)だった。フェンス越しに痛烈な声が飛んだ。「鳴尾浜に帰れ!」。肩を落とす右腕に代わり、福留孝介外野手(35)が応戦した。ヒートアップした男性は「お前はうるさいんや」とさらに対抗。抑えられないイライラが、あちこちで渦巻く惨敗だった。

 12人の猛攻で試合は完全に決まった。和田豊監督(50)は「9連戦の頭で勝ちパターンの投手を、そうは使えない」と交代しなかった理由を説明した。かつて「JFK」として虎投を支えた32歳も、昨年7月1日ヤクルト戦以来の登板。5安打4四球などで投じた56球は、1イニングの球数として歴代5位タイの多さだった。「ボールが高かった。申し訳ないです…」と目を充血させた右腕は、再び2軍落ちする可能性が出てきた。

 ▼久保田が5回に8失点。阪神投手の1イニング8失点以上は、05年8月9日中日戦の5回に先発井川が8失点して以来(井川は同回2死で降板)。救援投手では、04年4月7日横浜戦8回の吉野8失点以来。また久保田の投球数56は1イニングではセ・リーグワースト5位タイ。チーム1イニング8失点以上は08年9月21日巨人戦5回の8失点以来。また阪神の1試合15失点以上は、05年5月20日ソフトバンク戦(7-16)以来。中日戦に限ると03年7月26日(3-15)以来で、同カードでのワースト3位タイ。