<巨人4-1DeNA>◇22日◇サンマリン宮崎

 巨人菅野智之投手(24)が、チーム完投一番乗りでリーグ単独トップの4勝目を挙げた。4回に先制打を浴びたが、5回以降は完璧に修正。10年ぶりのキャンプ地・宮崎での公式戦で、自身最多の142球を投げ6安打1失点にまとめた。チームの未来を背負う右腕が、3試合連続となる中5日での先発をものともしないタフネスぶりを見せつけた。

 煌々(こうこう)と照らされたマウンドで、菅野は右拳を握った。9回2死、白崎をスライダーで空振り三振。プロ最多の142球で、チーム一番乗りの完投勝利を飾った。「どんなことがあっても、最後までいくつもりでした」。6回終了時、川口投手総合コーチから「100球超えたぞ」と言われたが、「最後までいきます」と直訴した。

 開幕前、首脳陣から登板数増をにらみ、中5日で回る可能性を伝えられた。「信頼してもらって、中5日で投げさせてもらえる。応えたいです」。3試合連続の中5日でも、覚悟は十分だった。4回に先制打を浴びたが、「真っすぐを狙われていたので」と5回以降は緩急を有効に使って、投球を修正。持ち前の二枚腰でマウンドを守った。

 舞台はキャンプ地の宮崎。伯父の原監督にあこがれ、巨人でプレーする夢を追いかけた時から、この地で投げる運命だった。だが、その日から、原監督の「おい」が枕ことばで付随。周囲からの視線、雑音も自然と耳に入った。純粋に夢を追った青年は重厚な何かを背負った。容赦なく、ヤジを受けたこともある。「正直、傷つきますよ」。気の強さを身上とする一方で優しい性格。いつしか、こう思い始めた。

 菅野

 僕のことをよく思わない人もいる。最初は7対3か6対4で応援してくれる人がいれば、と思ったんですが、それが5対5で、というふうに変わって…。でも、今はこう思うんです。受けとめようと。言われているうちが、幸せなんじゃないかなって。

 前回登板のヤクルト戦は右手に2度打球が直撃したが、続投を志願。「痛みを理由にマウンドを降りたくなかった」。野球人生を支えた反骨心からだった。この日、宮崎に集まった野球ファンを熱投で魅了させた。菅野に降り注いだのは、万感の拍手だった。【久保賢吾】

 ▼菅野が昨年6月15日ソフトバンク戦以来2度目の完投勝利。142球は昨年5月18日西武戦の136球を上回る自身最多投球数で、140球以上投げた巨人の先発投手は11年10月12日阪神戦で147球を投げ延長10回完投した内海以来になる(内海は中4日で147球)。宮崎で巨人の公式戦は04年5月25日広島戦に次いで2度目だが、前回は1-8で敗戦。これが宮崎での初勝利だ。菅野は昨年5月11日、新潟のDeNA戦、同7月9日、山形のヤクルト戦に次いで地方球場は3戦3勝。