<広島2-1ヤクルト>◇27日◇マツダスタジアム

 広島が延長サヨナラ勝ちで首位巨人と2ゲーム差に接近した。均衡を破られた直後の延長10回に代打・中東直己外野手(32)の犠飛で同点に追いつくと、11回1死満塁で途中出場の石原慶幸捕手(34)の適時内野安打で勝負を決めた。今季6度目のサヨナラ勝ちを決め、チームの雰囲気は最高だ。

 最後はきっちり寄り切った。同点で迎えた11回裏、1死から1四球1安打で一、二塁。7番田中は遊ゴロで併殺打かと思われたが、遊撃森岡が正面のゴロをトンネル。1死満塁となり、最後は途中出場の石原が三塁川端のグラブをはじくサヨナラ内野安打を決めた。

 石原

 みんながつないでくれたチャンス。イレギュラーして結果的に点が入って、勝てて良かった。

 1度は土俵際まで追い込まれた。10回表に1点を先制された10回裏。打線がバーネット相手に底力を見せた。先頭の7番田中が左前打で出塁。無死一塁。ここで野村監督が勝負に出た。犠打を選択せず、勝負強い8番会沢に代打松山を送った。指揮官は「普通ならバントのところを、松山に任したと。とりあえず、つないで、と思っていた」と説明。起用は的中し、松山は中前打。一気に無死一、三塁に好機を広げ、代打中東の中犠飛で試合を振り出しに戻していた。

 先発福井の粘りがなければ、激闘は生まれていない。2回、先頭5番雄平の平凡なゴロが一塁ベースに当たって二塁打となる。不運な形で無死二塁とされ、ここで味方の好守に助けられた。6番畠山の右中間ライナーを右翼堂林がダイビングキャッチに成功。最後は1死一、二塁から8番相川を三ゴロ併殺打に仕留めた。ここ2戦は2回3失点、4回2失点と結果を残せず、先発ローテの座が危うくなっていた。「しっかり集中できたと思う」。7回3安打無失点。白星以上に価値ある投球で、サヨナラ勝利を呼び込んだ。

 最後は34歳のベテラン石原が試合を決めた。今季は右肩痛で戦線離脱を経験し、26歳会沢の台頭もあって出場機会が激減していた男がヒーローとなった。盛り上がらないわけがない。6年連続でサヨナラ勝利を決める打者となったが、「そんなこと全然知らなかった。もっと普通の場面でも仕事をしたい」と照れ笑い。「これからもチームが勝つためにできることをやっていきたい」。首位巨人に2ゲーム差まで迫り、カープの雰囲気は最高潮に達した。