阪神和田豊監督(52)の続投方針が白紙になったことが11日、明らかになった。逆転優勝のラストチャンスとなった巨人戦で悪夢の同一カード3連敗。Bクラス転落の可能性がある中で、来季の監督人事は白紙に戻った。次期候補として、元監督の岡田彰布氏(56)や金本知憲氏(46)、矢野燿大氏(45)ら有力OBの名前が浮上。和田監督の続投も選択肢に入れ、慎重に選定作業を進めていく方向だ。

 阪神の監督人事が風雲急を告げる動きを見せてきた。逆転優勝にわずかな望みを抱いて、巨人戦に臨んだ。それがまさかの同一カード3連敗で、首位に7・5ゲーム差。4位DeNAが肉薄する予想外の展開だ。泥沼の6連敗で悪夢は続く。これまで球団側は「よほどのことがなければ…」と和田監督の続投を基本線にしていたが、CS本拠地開催の可能性さえ危ぶまれる事態に続投方針は「白紙」になった。

 次期監督として、有力OBの名前が浮上した。その1人が元監督の岡田氏だ。04年から5年間、指揮を執り、05年にはリーグ制覇を果たした。最強のリリーフ陣と称される「JFK」の編成など用兵に優れ、選手の信頼も厚い。培われた野球観を基に、勝負にこだわった采配が今も高く評価されている。08年はシーズン序盤から独走しながら、球史に残る巨人の追い上げを受け、2位に終わった。球団は全力で慰留したが、V逸の責任を負って、辞任。その後はオリックス監督を3年間、務めた。

 阪神は最後の優勝となった岡田政権下の05年以降、リーグ優勝に届いていない。特に後半戦の失速は近年の恒例行事となり、課題を克服できていない。ただし外国人選手を中心に戦力は他球団に見劣りしていない。現在のチームの基盤を引き継ぎ、スムーズに新体制に移行することを考慮すれば、岡田氏は適任と言える。

 有力OBとして、金本、矢野両氏も候補に挙がっている。03年、05年の優勝メンバーで実績、経験ともに申し分ない。ファンの人気も絶大で、指導者としての復帰が待ち望まれている。手腕は未知数ながら、選手からの人望も厚く、チームをしっかりとまとめ上げていくことが期待される。観客動員が減少傾向にある中で、チームの魅力を高める起爆剤になる。情熱的な指導で定評のある平田2軍監督も候補だ。

 来季は球団創設80周年。今季の優勝が絶望的な状況で、メモリアルイヤーのV奪還は重大な使命だ。白紙にはなったが、和田監督の続投も選択肢に入れ、来季監督の選定作業を慎重に進めていく。

 ◆岡田彰布(おかだ・あきのぶ)1957年(昭32)11月25日、大阪府生まれ。北陽-早大。79年ドラフト1位で阪神入団。80年に新人王。85年は主軸で日本一。94年からオリックス移籍。95年に現役引退。96年から2年間オリックス2軍助監督兼打撃コーチ。98年阪神に復帰、2軍監督や1軍コーチなどを歴任。04年1軍監督に就任、05年リーグ優勝。08年限りで退任。10年から12年までオリックス監督。

 ◆金本知憲(かねもと・ともあき)1968年(昭43)4月3日、広島県生まれ。広陵-東北福祉大を経て、91年ドラフト4位で広島入団。強打の外野手に成長し、02年オフ阪神にFA移籍。03、05年のリーグ優勝の立役者。04年打点王、05年MVP。連続1492試合フルイニング出場は世界記録。12年オフ引退。通算2578試合、2539安打、476本塁打、打率2割8分5厘。現役時代は180センチ、88キロ。右投げ左打ち。

 ◆矢野燿大(やの・あきひろ)1968年(昭43)12月6日、大阪府生まれ。桜宮-東北福祉大を経て90年ドラフト2位で中日入団。97年オフ、トレードで阪神に移籍し、正捕手を獲得。03年3割2分8厘はセ・リーグ2位。08年北京五輪出場。輝弘から燿大に登録名を変更した10年に引退。通算1669試合、1347安打、570打点、112本塁打、2割7分4厘、現役時代は181センチ、81キロ。右投げ右打ち。