<中日4-2DeNA>◇1日◇ナゴヤドーム

 涙のラスト登板だった。今季限りの引退を表明している中日小林正人(34)鈴木義広(31)三瀬幸司(38)の3投手が最後のマウンドに上がった。10、11年のリーグ2連覇に貢献した竜のブルペンを象徴する職人たちが本拠地の竜党に別れを告げた。

 焼き付けようと思っていた景色がぼやけた。試合後のセレモニー。小林の目からまた涙があふれ出た。「引退することが決まってから、毎日練習中でも涙が出そうだった。まさか自分がこんなふうに(現役生活を)終われるなんて…」。もう我慢できなかった。

 最後の登板は6回1死の場面。同じタイミングでユニホームを脱ぐことなった鈴木義が黒羽根に左越え弾を浴びた直後。相手は投手モスコーソだった。「これが最後の1球だと思うとこみ上げてきた」。2ストライクまで追い込むと、我慢しきれず涙をぬぐった。最後は外角スライダーで見逃し三振。万雷の拍手を浴びた。

 最後は笑顔だった。黒羽根に本塁打を浴びた鈴木義は「諦めがつきました。記憶に残るでしょ」とニッコリ。左肩痛の影響で今季登板なしに終わった三瀬も7回に登板し筒香を空振り三振。「最後のともしびなので力以上のものが出た」と安堵(あんど)の表情。3投手は裏方としてチーム再建を担う。【桝井聡】