虎が巨人との決戦モードに突入だ。明日15日から巨人とのクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージ。第1戦に先発する可能性が高い阪神藤浪晋太郎投手(20)が13日、甲子園で行われた投手指名練習で左腕岩田稔投手(30)と息を合わせたように全く同じ練習メニューをこなした。日本新の0行進もかかっており、悲願のCS制覇へ、G倒へ、動き始めた。

 決戦が迫り、独特の緊張感の中、藤浪が異例の調整だ。この日、藤浪と同じように巨人とのファイナルステージでの先発登板が予想される岩田と、まったく同じ行動をとったのだ。

 キャッチボールも2人で行い、ブルペンに入るのも出てくるのも同じタイミング。その後のダッシュメニューも同じものに取り組んだ。2人で汗を流し、練習を切り上げると、最後は並んでグラウンドを後にする念の入れよう。先発隠しの戦いは、すでに始まっている。藤浪は「すみません。ノーコメントでお願いします」と足早にクラブハウスに引き揚げ、岩田も「特に言うことはないです」。中西投手コーチも「今日は、なしだ」と一言のみ。徹底的に、初戦マウンドに立つ男は隠された。

 ただ、日本シリーズ進出へ、初戦がカギを握るのは間違いない。ファイナルステージでは巨人に1勝のアドバンテージがある。阪神は1つ劣勢であるため、まずは初戦を制し、セ王者に勝ち数で肩を並べることが必要だ。そんな大事な一戦を、20歳右腕が任される見込みが高い。

 さらにポストシーズン(PS)のイニング連続無失点の新記録もかかっている。虎は広島とのファーストステージ2試合で21イニング連続無失点。驚異の0行進を、巨人戦でも続ければ、史上初の快挙となる。阪神が15日に初回から4イニング無失点を記録した時点で、PS日本新記録となる。ファーストステージ初戦のメッセンジャーも、前日12日の能見も8回無失点。先発陣は試合終盤までスコアボードに0を並べ、呉昇桓ら「勝利の方程式」に託した。この勢いに乗って、藤浪もいい展開でつなぎたいところだ。

 藤浪は今季、巨人戦には2試合先発。ともに東京ドームで0勝2敗。白星を挙げることはできなかったが、阿部は4打数無安打、村田は5打数無安打で3三振。強力打線の主軸をきっちり抑えている。虎にとって悲願のCS制覇へ、0を積み重ねていくだけだ。【宮崎えり子】

 ▼阪神がPSで2試合連続、通算21イニング連続無失点中。PSでの連続イニング無失点の最長は、51年日本シリーズの巨人が南海戦で記録した「24」で、第1戦・藤本9回完封、第2戦・別所9回完封、第3戦・松田6回まで無失点。今回、阪神が15日巨人戦で初回から4イニングを無失点に抑えれば新記録となる。