<東京6大学野球:慶大4-3早大>◇最終週最終日◇30日◇神宮

 慶大が早大を振り切り、2季ぶり33度目の優勝を果たした。

 慶大の捕手、阿加多直樹(3年=慶応)が初めて先発マスクをかぶったのは今月14日の明大戦だった。4戦にまでもつれる中、13打数6安打して正捕手の座をつかんだ。阿加多は「キャンプの途中に呼ばれ、そのあと試合にも出られるようになった」と振り返る。

 慶大野球部は、2月末から石垣島でキャンプを行った。参加34人。メンバーは固定せず、プロ並みに入れ替えを行った。右足肉離れもあって残留組にいた阿加多が招集されたのは3月11日、大地震が東日本を襲った日だ。移動中で空の上。揺れは知らない。出発便が1時間遅かったら合流できなかった。外野から転向し地道に練習してきた捕手には運も味方した。

 部員数はリーグ一の190人を超える。他校と戦う前にチーム内競争がある。江藤監督は「学生野球は、今(調子の)いい選手を使わないと」と言う。優勝は、競争の中で急成長した選手と、評価するプロ出身監督の目があって実現した。【米谷輝昭】