12年秋のドラフトは大学生にも好投手がそろっている。いち早く秋のドラフト候補をチェックした。

 理工学部電子工学科。専攻は画像処理。慶大・福谷浩司投手(3年=愛知・横須賀)は、文武両道を地でいく異色右腕だ。「カメラのオートフォーカス機能とか、モザイクの応用とか、そういうのを研究してます」。週に18コマの授業を詰め込み、野球部のメンバーと会うのは土日の神宮球場のみ。しかし大学最終学年を迎え、いよいよ野球に集中できる環境が整う。

 昨春は抑えで12試合に登板。春連覇に貢献し、最優秀防御率(0・59)を獲得した。だが「最後の2イニングくらいしか投げてないのに、他大学の先発投手に申し訳ない。大して活躍できたとは思わない」と、全く満足しなかった。全日本大学選手権は決勝で先発し、延長10回サヨナラ負け。東京6大学リーグ最速タイの155キロを誇る直球も、秋は150キロも出なかった。「普段の練習不足を実感した」という。

 卒業単位は3年で取り切れるため、4月から授業は週1で済む。高校時代にプロ志望届を提出した時は「力試し」だったが、1位候補となった今度は「本気」だ。秀才キャラで見られることを嫌い「僕は異端児ですけど、野球の時はちゃんと野球で見てもらいたいです」と力を込める。これまで練習時間が短かった分、ラストイヤーの福谷の伸びしろは未知数だ。【鎌田良美】