<東都大学野球:亜大1-0中大>◇第4週初日◇24日◇神宮

 勝ち点2同士の首位対決は、亜大が中大に先勝した。今秋ドラフトの目玉、東浜巨(なお)投手(4年=沖縄尚学)が7安打5四死球と苦しみながら要所を締め、通算19度目の完封。元阪急の関大・山口高志氏(61=現阪神投手コーチ)に並び、主な大学リーグでの最多タイ記録となった。

 7安打された。5四死球出した。それでも失点しないのが今年の東浜だ。「積み重ねてきたものが他の人と違う。それで補っています」。開幕から好調な日は1度もない。それでも今季3勝0敗、33回投げて自責は3点。元阪急の関大・山口高志氏に並び、主要大学最多の19完封目を挙げた。

 ネット裏では11球団のスカウトが視察。プロで山口氏と対戦したオリックス古屋編成部国内グループ長は「山口さんとタイプは違うけど、点を取られないのはたいしたもの。右打者へのツーシームは大学生では打てない」と評価した。

 なぜ負けないのか。1つはクレバーな投球術。同じ球種でも球速をばらつかせ、打者のタイミングを外した。生田勉監督(45)が「沢村(巨人)藤岡(ロッテ)がリーグにいた時は張り合っていた」と話すように、昨春までは150キロ超の速球も見せた。だが秋に右肘を痛めてからは力投をやめ、技術に磨きをかけた。

 加えてこの日は、直球が走った。1回に今季最速の145キロを記録。「まとまらない」と不満げだが、4回2死満塁、9回2死二、三塁は直球で空振り三振。捕手の嶺井も「キレは80~90%戻った。力勝負できれば三振も取れる」と喜んだ。

 通算29勝。30勝の大台に王手をかけ、奪三振349は亜大OB、元阪神の山本和行氏(62)を抜きリーグ6位に浮上した。「記録はこだわらないけど、積み重ねられたらいい」。暫定首位に立ち、まだまだ走り続ける。【鎌田良美】