<全日本大学選手権:桐蔭横浜大1-0愛知大>◇13日◇2回戦◇東京ドーム

 昨秋日本一の桐蔭横浜大(神奈川)は、「阿部ツインズ」の弟、阿部亮太外野手(3年=青森山田)の決勝ソロで8強進出を決めた。先発の横山弘樹投手(4年=宮崎日大)から小野和博投手(4年=磯原)につなぐ無失点リレーで愛知大(愛知)に勝利した。

 “元カメラマン”の一振りで、豪快に試合を決めた。7回2死、カウント1ボール1ストライクから、高めに入った114キロカーブを見逃さない。阿部亮が、東京ドームの右翼席中段にたたき込んだ。「甘く入ってきました。完璧でした」と自画自賛の決勝本塁打。創部初の日本一に輝いた昨秋の明治神宮大会は、絶不調で大会直前にベンチ入りメンバーから外れた。日本一の瞬間は神宮一塁側カメラ席の端でデジタルカメラを握っていた。野球部ホームページ用の写真撮影が仕事だった。

 屈辱を胸に、今春のリーグ戦は2本塁打をマーク。5月12日の母の日には双子の兄、阿部建太内野手(3年=青森山田)とアベック本塁打を放った。カーネーション代わりの活躍で、リーグ通算打率は共に3割3分3厘と息もぴったり。だが初戦無安打の兄はこの日の先発メンバーから外れた。阿部亮は「普段はあまり話さないです」と言うが、試合に出ない悔しさは誰よりも感じた経験がある。

 チームを救う1発で8強入り。1年時には、全国出場を懸けた関東大学選手権で東海大時代の巨人菅野からサヨナラ打を打った。「まだ日本一になっていない。日本一を目指しています」。持ち前の勝負強さで、今度こそ笑って写真に納まる決意だ。【前田祐輔】