ロッテのドラフト2位指名、ホンダの長野久義外野手(23)が24日、埼玉県狭山市内の同社合宿所でロッテと初交渉を行った。ロッテ瀬戸山球団社長から最高条件となる契約金1億円(出来高5000万円)年俸1500万円に加え、背番号を含めて長野の希望をすべて聞き入れるという提示を受けた。破格の条件だが、巨人愛を貫いて日本ハムの指名を拒否した2年前同様に、今回も巨人への思いが勝りつつある。今後はホンダの新チーム始動となる12月8日までに意思を伝える。(金額は推定)

 いつもは明るい長野に、最後まで笑顔はなかった。「高い評価をしていただいたことはありがたいし感謝しています。でも千葉マリンでプレーする姿はまだ想像できません。今はゆっくり考えたいです」と重い口を開いた。

 約25分間の初交渉だった。ロッテ瀬戸山球団社長、石川副代表、松本スカウティングスーパーバイザー、山下スカウトと異例の4人態勢で、ロッテのDVDや球団案内、写真集、さらにロッテのお菓子5袋分を持参して熱心にチーム状況を説明された。瀬戸山社長からは最高条件に加え「長野君のリクエストがあれば極力応えたい」という誠意も示された。

 それでも会談後の長野はスッキリと結論を出せなかった。「ドラフト当日と、今日話を聞いて特に(気持ちが)変わったことはない。いろいろな人に相談しても2つの意見が出てくるので…。最終的には自分で決めようと思う」と話すにとどまった。2年前のドラフトでは日本ハムから指名されたが、幼少のころからの夢だった巨人入りをあきらめ切れずに入団拒否した経緯がある。10月30日のドラフト終了直後には、バレンタイン監督との対面を拒否した。一時はロッテ入団へ軟化しかけたが、深い「巨人愛」を覆すことは簡単ではない。

 一方で、長野に近い関係者の中にはロッテ入りを勧める声もある。2度も入団拒否することによるイメージダウンと、巨人にはラミレス、高橋由、亀井、谷らそうそうたる外野手がそろうためポジションを獲得するのが難しいためだ。さらに来年のドラフトで巨人が確実に長野を指名できる保証はない。

 ホンダ安藤監督は「結論をあまり引き伸ばしてもロッテさんに迷惑がかかる。新チームが始動する12月8日までに決めることになると思う」と見通しを話した。ドラフト直後は態度を軟化させた長野だが、再び“入団拒否”の可能性が強まってきた。【鳥谷越直子】