“ポスト球児”を電撃視察!

 阪神中村勝広GM(63)が4日、練習試合・日本生命-NTT西日本戦(大阪・吹田市、日本生命グラウンド)を視察し、NTT西日本の最速152キロ右腕、増田達至(たつし)投手(24=福井工大)に熱視線を送った。海外FAでの移籍が濃厚な藤川に代わる“ポスト球児”の可能性を秘めた右腕が、外れ1位候補に浮上した。

 ネット裏から中村GMが鋭い眼光を光らせた。嶌村、木戸の両GM補佐と池之上スカウトとともに、総勢4人で視察。お目当てはNTT西日本の増田だ。8球団18人の編成担当者らが熱視線を送る中、最速152キロ右腕は練習試合・日本生命戦の7回から登板。2イニングをパーフェクトに抑え、最速は148キロを計測した。

 中村GM

 短いイニングだったが、力がある。今はめぼしい選手を見て回っているところ。あとはスカウトがランク付けしてくれるだろう。

 増田は社会人1年目から頭角を現し、今季は抑えとして速球とフォークを武器に、社会人京都大会優勝に貢献した。阪神はすでに、増田を今秋ドラフト候補にリストアップしており、マークを続けていた。池之上スカウトは「マウンドさばきとか、いろいろな動きに躍動感があって、ダイナミックな投球フォーム。楽しみな選手がまた1人出てきたね」と高く評価する。

 今オフに海外FAでの移籍が濃厚な藤川に代わる新守護神の確立が急務。抑えとして実力を発揮している増田は、“ポスト球児”にピタリと当てはまる。この日の好投で外れ1位候補に急浮上。中村GMが前日3日に視察した駒大・白崎浩之内野手(4年=埼玉栄)と並び、今秋の重要ターゲットとなった。

 増田は虎との縁も深い。NTT西日本を率いるのは、阪神OB佐々木誠監督(47)。臨時コーチを務めるのもOBの野田浩司氏(44)だ。野田氏は中村GMが阪神監督時代の92年に8勝をマークし、2位躍進の原動力となった。阪神OBの指導の下、虎イズムを注入されている右腕に注目だ。

 中村GMは、社会人屈指の強肩を誇る日本生命・広本拓也捕手(23=法大)にも熱視線。収穫の多い電撃視察となったようだ。

 ◆増田達至(ますだ・たつし)1988年(昭63)4月23日、兵庫県生まれ。柳学園(兵庫)では甲子園出場経験なし。福井工大4年春に2完封を含む5勝、防御率0・55、71奪三振でベストナインを獲得。NTT西日本では1年目の春から公式戦デビュー。今年5月の京都大会では、4試合連続無失点救援で優勝に貢献した。180センチ、82キロ。右投げ右打ち。

 ◆広本拓也(ひろもと・たくや)1988年(昭63)10月22日、大阪府生まれ。浪速(大阪)では1年秋から正捕手も、甲子園出場経験はなし。法大では1年秋からリーグ戦デビューし、4年春から正捕手。日本生命では1年目から正捕手となり、昨年の都市対抗8強進出に貢献。遠投110メートル。50メートル走6秒8。183センチ、83キロ。右投げ右打ち。