【フェニックス(米アリゾナ州)12日(日本時間13日)=四竈衛】「米国キラー」は、今大会でも健在だった。

前日、初戦を落としたメキシコが、前回覇者でV候補筆頭の米国に快勝し、初勝利を挙げた。大国撃破の立役者は3安打5打点を挙げた元オリックスの3番ジョーイ・メネセス一塁手(30=ナショナルズ)だった。初回に左中間へ先制2ランを放つと、4回にも左中間へ3ランをたたき込んでリードを広げた。「言葉では説明できない。満員の球場でアドレナリンが出て、美しい衝撃だった」。

大舞台で脚光を浴びたとはいえ、ここまでは苦難の野球人生だった。19年、オリックス入りしたものの、6月下旬、禁止薬物の使用が判明。1年間の出場停止処分を受けた後、契約を解除された。ナショナルズとマイナー契約を結んだ昨季は、8月にメジャーへ昇格し、56試合で13本塁打を放つなど、ようやく持ち前のパワーを発揮。今大会では、母国の中軸打者として期待されるまでに成長した。

投げては、エンゼルス大谷の同僚でもある先発左腕サンドバルが3回1失点と好投。試合後は「こんな雰囲気の中でプレーしたことはないよ」と、興奮気味に振り返った。これでWBCの米国戦は通算3勝1敗。米国のようなスーパースターは不在でも、この日のスタメンは全員メジャーリーガー。完勝劇は、決して「金星」ではない。