生き返れ村上! 侍ジャパン村上宗隆内野手(23)が14日、WBC準々決勝イタリア戦(16日、東京ドーム)に向けて覚悟を固めた。

1次ラウンドは4番を任されながら、14打数2安打2打点0本塁打。計38得点と活発な打線の中「眠れる村神様」のままに終わったが、この日のチーム練習ではフリー打撃で右翼スタンド上の大型ビジョン直撃弾を2発放った。仲間の思いも力に変え、復活のアーチで米国行きを決めてみせる。

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練習後、村上は何度も繰り返した。「勝つことが一番なので」「とにかく勝てるように」。準々決勝のイタリア戦から、負ければ敗退の一発勝負が幕を開ける。連呼した「勝つ」の言葉が、東京ドームの取材エリアに響き続けた。

「自分の状態として打ててないのが続いているけど、短期決戦は勝つこと。これから先はそこだけ」

1次ラウンドは14打数2安打、本塁打0。昨季3冠王は状態を「マックスではない」としながら「そんなこと言ってられない」と前を向いた。1番ヌートバー、2番近藤、3番大谷がいずれも打率4割超え。とりわけ、大谷の後ろの「4番」を打つことについて問われると語気は強くなった。

「すごいモチベーションになるし、僕しか打ったことない打順なので、これからもそこ(4番)を打てるように頑張ります」。

栗山監督は「1人の選手がどうこうじゃない。全体のバランスで一番の形を」と、ベストオーダーを探る方向だ。ただ、背番号55の4番への思いは誰よりも強い。この日はフリー打撃で7本の柵越えを披露。右翼スタンド上の大型ビジョンにぶち当てるアーチも2発あった。徐々に、打球に角度がついてきた。

先輩の“心遣い”にも救われてきた。13日には、自身のインスタグラムに左脇腹を痛めて無念の離脱となった鈴木のおどけた動画を投稿した。不振に苦しむ自身のモノマネをする姿に笑わせられ、「顔を上げて頑張れ」とのエールに心震えた。「元気出ました。常にLINEはしています。元気出せよという風なのかなと思います」。ダルビッシュの「人生の方が大事。野球くらいで落ち込む必要はない」との発言にも、心を軽くしてもらった。「食事会場とか試合始まる前もおっしゃっていましたし、その通りだなと」。

06年WBCで不振に苦しむ福留孝介氏が代打で登場した際に実況アナウンサーが「生き返れ福留」と発して1発を放ったことからか、ネット上では「生き返れ村上」のワードで盛り上がっている。あのときの福留のように-。4番が生き返れば米マイアミでの準決勝、いや、世界一へのドラマが見えてくる。【中野椋】

▽吉田(自身の前を打つ4番村上について)「本人が一番分かってると思う。自分もいろいろ後ろで見ながら、タイミングとか小さなことだと思うので、特に心配はしてないですし、4番としてどっしり座ってることが大きなことだと思う」

◆06年WBCの福留(中日) 1次リーグ初戦の中国戦から2次リーグの韓国戦まで6試合すべて先発。3番中堅で出場した初戦の中国戦では5回の第3打席で本塁打を放つも、その後はさっぱり。中国戦の第4打席から14打席連続無安打を記録するなど、2次リーグ終了時点で19打数2安打の打率1割5厘。準決勝の韓国戦は先発を外れたが、0-0で迎えた7回1死二塁の場面で代打に起用され金炳賢から先制2ラン。決勝のキューバ戦では9回に代打でダメ押しの2点適時打を放ち、2次リーグまで苦しんだ福留が日本の優勝に貢献した。