連覇を狙う米国が18日(日本時間19日)、苦しみながらも劇的な逆転劇で準決勝進出を決めた。2点を追う8回、9番トレイ・ターナー内野手(29=フィリーズ)が逆転のグランドスラムをたたき込んだ。19日(同20日)の準決勝では、キューバと対決する。

逆転弾が左翼席に飛び込んだ瞬間、一塁側ベンチは空っぽになった。主将トラウトが雄たけびを上げ、スター選手たちが本塁で殊勲のターナーを出迎えた。「なかなかいいスイングだったかな。次に(1番の)ベッツ、トラウトが控えているし、とにかく力みすぎないようにしたんだ」。カウント0-2と追い込まれながら、チェンジアップをすくい上げた一打が、ベンチに漂い始めた重苦しいムードを吹き払った。

昨季21本塁打、100打点のターナーが9番を務める超豪華打線。「この打線はすさまじい。自分の打順は何番だって構わないし、何とか貢献できればそれでいい」。昨オフ、11年総額3億ドル(約405億円)でフ軍入りしたスターが、「個人的にはこれまでで最も大きな一打」と振り返る殊勲打だった。

苦しみながらも、連覇まであと2勝にこぎ着けた。「明日も簡単にはいかないだろう。ただ、我々はみんな同じ理由でここにいる。すべては勝つためだ」。おそらく史上最高年俸の9番打者のターナーは、口調を強めて先を見据えた。【四竈衛】