<WBC:カナダ10-3メキシコ>◇9日(日本時間10日)◇1次ラウンドD組◇米アリゾナ州フェニックス

 【佐藤直子通信員】前代未聞の大乱闘が起こった。カナダ-メキシコ戦で、両軍ベンチが入り乱れるなど、計7選手が退場処分となった。試合はカナダが大勝したが、得失点率と失点率で順位をつけるWBC特有のルールが引き金になった。カナダは1勝1敗で2次R進出に望みをつなげ、メキシコは2敗目を喫して初の1次R敗退。イタリアは米国に2-6で敗れたが、初の1次R突破が決まった。

 9回、6点リードしていたカナダの先頭打者ロビンソンが三塁へ決めたバント安打が引き金だった。大量リードの場面で攻撃側がバントすることは「マナー違反」とされている。メキシコ三塁手クルスは、不快の意を示すジェスチャーをし、マウンド上のレオンはナインと何やら目配せして次打者トソニに初球から内角攻め。球審からは両軍ベンチに警告が発令される。お構いなしのレオンが3球目を背中付近にぶつけると、両チーム56選手が入り乱れる大乱闘。カナダのウォーカー一塁コーチは「私はアセベスに抱きついて止めたが、彼の目にはサタンが宿っていた」と誰もが興奮状態に陥っていた。

 カナダは前日イタリアに4-14と大敗しただけに1点でも多く得点したかった。「普通の試合ならバントはしないが、1点でも多く稼ぐ必要があった」とウィット監督は説明。メキシコのレンテリア監督は「特別ルールについて、選手には十分説明したが、真剣勝負の真っただ中で我を見失ってしまったのだろう」と悲しげな表情を浮かべた。