<WBC:日本1-3プエルトリコ>◇17日(日本時間18日)◇準決勝◇米サンフランシスコAT&Tパーク

 前田健太投手(24)が、雪辱をかける次回大会に光をともした。強力打線のプエルトリコを相手に、5回4安打1失点。打線の援護がなく、チームを決勝進出に導けなかったが、堂々たる投球だった。「すごくいい経験をさせてもらって、自信になる部分もあったし、今日投げられたことは自分の財産になる」。黒星から得たものは、計り知れなかった。

 魔の1回だった。1回、1球目を投げた後、球審から左手首にはめた数珠とバンドを外すように指示を受けた。先頭パガンは抑えたが、1死から連続四球。2死後、アービレイスに先制の適時打を浴びた。登板前日にはグミ、チョコレートなどをコンビニで購入。ルーティンを大事にする右腕にとって、投球リズムを狂わされる指摘だった。

 登板時の気温は10度を下回る寒さ。30度を超えたアリゾナとは雲泥の気温差だったが、全てを受け止めた。「ドーム球場とは投げていて違うというのもあったけど、それは言い訳にしかすぎないんで。勝ちに結び付くピッチングができなかった。優勝できなかったので、悔しい気持ちしかないです」と唇をかんだ。

 1球ごとの間隔が長く、相手先発M・サンティアゴが11秒台だったのに対し、前田健は19秒台。テンポの差は明らか。試合後、大会を振り返る前田健の目は、雪辱に向け、ギラギラだった。「そうそう感じることのできないプレッシャーや緊張感を味わえた。この経験を生かして、また次のWBCに選ばれれば、先頭に立ってやっていきたいです」と覚悟を示した。【久保賢吾】