ボクシングのトリプル世界戦でWBA世界ライトフライ級王者、田口良一(31=ワタナベ)がIBF同級王者ミラン・メリンド(29=フィリピン)との団体王座統一戦に勝利し、7度目の防衛と日本人3人目となる2団体統一王者を果たした。

 WBO世界フライ級王者の木村翔(29=青木)は、元世界王者の同級1位五十嵐俊幸(33=帝拳)との日本人対決を制し初防衛に成功。

 IBF世界ミニマム級王者の京口紘人(24=ワタナベ)は、同級3位カルロス・ブイトラゴ(26=ニカラグア)を下し初防衛。



トリプル世界戦

田口が7度目防衛、統一王者に

◆WBA・IBF世界ライトフライ級王座統一戦12回戦


WBA王者田口良一(31=ワタナベ)判定
3-0
IBF王者ミラン・メリンド(29=フィリピン)

【1回】互いに探りを入れるように左ジャブを繰り出す立ち上がり。終盤、相手の間合いに踏み込んだメリンドが連打を放ち、左アッパーが田口の顔面をとらえる

【2回】再三、距離を詰めてパンチを繰り出すメリンドを、田口が慎重にさばく。2分過ぎ、田口の左ボディーがメリンドをとらえる

【3回】田口が距離を詰めにかかるが、メリンドが細かいパンチで対応し中に入らせない。メリンドが偶然のバッティングで左目付近をカット

【4回】互いに懐に入ろうと隙をうかがうが、突破口を開けず。田口は遠い距離から飛び込むようにボディを放つ

【5回】距離を詰めようとする田口に対し、メリンドもパンチを集めて応戦

【6回】互いに前に出ようとするが、跳ね返され主導権を握れない

【7回】中盤に入り田口が連打を浴びせ、前に出ようとしたメリンドにさらに右ストレートを放つ

【8回】手数を集める田口。メリンドが大振りとなったフックがかわされ、バランスを崩してよろける場面も

【9回】メリンドの攻勢に田口はやや押され気味。田口は左頭部をカットし出血

【10回】田口が接近戦に打って出る。激しい連打にメリンドがクリンチ。田口はさらに頭をつけて接近戦から左右のボディー。メリンドに距離をとらせない。ラウンド終了のゴングが鳴ると、田口は左手を突き上げ歓声に応える

【11回】リング中央で激しく打ち合う

【12回】両者が最後の力を振り絞り、リング中央で激しいラッシュ。田口がジャブからのワンツーで攻め立てると、メリンドはクリンチで逃れる。さらに連打で追い込むが、メリンドが再びクリンチ。大きな「田口コール」の中、最後まで手数を止めないまま両者の打ち合いが続いた。ゴングが鳴り、勝利を確信した田口は両手を突き上げた。判定は116-112、2者が117-111の3-0で田口が勝利

<コメント>

◆田口「最高にうれしいです。苦しかったですけど、本当に勝てて良かったです。こうして2つのベルトをまいて感慨深いです。自分がボクシング始めた時の夢が世界チャンピオン。世界チャンピオンになって新たな夢が7回防衛と、統一チャンピオンになるということでした。その夢がかなってうれしく思います。ボクシングを続けてきて本当に良かった。来年も厳しい年になると思うんですけど、また精進して、(ジムの)先輩の内山(高志)さんの意志を受け継いで、ワタナベジムを引っ張っていきたいと思います」

7回、メリンド(左)にパンチを見舞う田口(撮影・ たえ見朱実)
7回、メリンド(左)にパンチを見舞う田口(撮影・ たえ見朱実)
WBA・IBF世界ライトフライ王座統一戦 12回、メリンドにパンチを見舞う田口(撮影・ たえ見朱実)
WBA・IBF世界ライトフライ王座統一戦 12回、メリンドにパンチを見舞う田口(撮影・ たえ見朱実)
12回を終え、勝利を確信した田口(左)は両手を挙げる。右はメリンド(撮影・河野匠)
12回を終え、勝利を確信した田口(左)は両手を挙げる。右はメリンド(撮影・河野匠)
メリンドを下し、統一王者となった田口は2本のベルトを肩に掛けてガッツポーズを見せる(撮影・河野匠)
メリンドを下し、統一王者となった田口は2本のベルトを肩に掛けてガッツポーズを見せる(撮影・河野匠)

◆WBO世界フライ級タイトルマッチ12回戦

王者が初防衛


王者木村翔(29=青木)9回TKO五十嵐俊幸(33=帝拳、同級1位)

【1回】互いに動きながらジャブを繰り出す立ち上がり。中盤過ぎから木村が前に出て左右に大きなフックを放つが、足を使い距離を測る五十嵐にさばかれる

【2回】強引に前に出る木村。五十嵐にさばかれても、ひるまず圧力をかけ続ける。終了間際に木村の左フックに後ずさりしたが、五十嵐だったが左ストレートを返す

【3回】前に出る木村を五十嵐がさばく展開は変わらず。終了間際の木村の有効打で、五十嵐が左目の上をカット。

【4回】突進を止めない木村に対し、五十嵐が足を止めて接近戦で打ち合う場面も。木村は左フックを空振りしても五十嵐のガードの上から強引に右ストレートを続ける

【5回】前に出続ける木村に対し、五十嵐が細かいパンチで応戦

【6回】リング中央で互いが打ち合う場面が目立つ。細かいパンチを重ねる五十嵐に対し、木村は重いパンチを上下に打ち分ける。木村も右目尻をカットしたもよう

【7回】木村に対し、五十嵐が再び距離をとって応戦

【8回】中盤過ぎに木村の右ストレートがヒット。五十嵐がたまらずクリンチで逃れる

【9回】2分20秒過ぎ、木村が五十嵐のガードの上から強引な連打。強烈な右ストレートがヒットし五十嵐がひるむと、中央から一気にコーナへ押し込む。なおも連打を繰り出す木村の前に五十嵐のガードが耐えきれず。棒立ちとなった顔面に連打が打ち込まれる。レフェリーが間に入って試合終了

<コメント>

◆木村「僕の力が本当に試される試合だと思っていた。五十嵐選手はラストチャレンジということもあって、すごく根性の強い選手でしたけど、勝ててほっとしてます。サウスポーには苦手意識があったけど、実際立ち会ってみて、右も左も関係ないことにも気づけた。五十嵐選手に感謝したいです。去年の大みそかから比べると、本当に1年でこんなに人生って変わるのかと思います。目標だったV1を達成しましたけど、僕はまだまだ強くなれると思っている。来年ももっと強くなってこのリングに上がりたいです」

WBO世界フライ級 9回、五十嵐俊幸をコーナーに追い込んだ木村翔はTKO勝ち(撮影・ たえ 見朱実)
WBO世界フライ級 9回、五十嵐俊幸をコーナーに追い込んだ木村翔はTKO勝ち(撮影・ たえ 見朱実)
9回、五十嵐(右)をロープ際に追い込んで連打を浴びせる木村(撮影・河野匠)
9回、五十嵐(右)をロープ際に追い込んで連打を浴びせる木村(撮影・河野匠)
9回TKOで五十嵐(右)を下す木村(撮影・河野匠)
9回TKOで五十嵐(右)を下す木村(撮影・河野匠)

◆IBF世界ミニマム級タイトルマッチ12回戦

王者が初防衛


王者京口紘人(24=ワタナベ)8回TKO×カルロス・ブイトラゴ(26=ニカラグア、同級1位)

7回、ブイトラゴに左アッパーを見舞う京口(撮影・ たえ見朱実)
7回、ブイトラゴに左アッパーを見舞う京口(撮影・ たえ見朱実)
8回、ブイトラゴにTKO勝ちした京口(撮影・ たえ 見朱実)
8回、ブイトラゴにTKO勝ちした京口(撮影・ たえ 見朱実)