「オレとAJ(スタイルズ)の試合をメインに」「世界中の目を覚ます」。

 週末8日(日本時間9日)、WWEスマックダウン所属の「ロックスター」中邑真輔(38)が米ニューオーリンズのメルセデスベンツ・スーパードームで開催されるWWE最大の祭典レッスルマニア34大会に初出場。WWE王者AJスタイルズ(40)に挑戦する。日本人初のWWEヘビー級王座奪取を目指した大一番を前に、このほど日刊スポーツなどのインタビューに応じ、今だ発表されていない試合順についてメインイベントを熱望した。

 レッスルマニアの対戦カードが、ほぼ出そろった。メイン候補と言われているのが、AJスタイルズ-中邑のWWE王座戦、ユニバーサル王座戦(王者ブロック・レスナー-挑戦者ローマン・レインズ)、元UFC女子バンタム級王者ロンダ・ラウジーのWWEデビュー戦となるミックスド・タッグマッチ(カート・アングル、ラウジー組-トリプルH、ステファニー・マクマホン組)だ。

 -メインで出たいか

 中邑 出たい気持ちがある。特に今年に関してはロイヤルランブル(30人出場の時差式バトルロイヤル)を制して、王者(AJスタイルズ)を指名して、かつ公式なアナウンスでもメインイベントと言われたり、言われなかったりした。不安定な状態なら、率先して(自ら)メインイベントと言った方がいいなと。

 -慣例では1月のロイヤルランブル優勝者がメインイベントに出てきた

 中邑 昨年の例を見るとロイヤルランブルで優勝したランディ・オートンがメインではなかった。そういうイレギュラーが起こり得る。そこは駆け引きなのか、運なのか、会社の意向なのか。自分では分かりかねるけれど。それは誰にも分からない。試合順を決定する人間以外は。当日に変わったりするわけだから。

 AJスタイルズ-中邑真輔。このカードの存在価値を高めるため、スマックダウンでは心理戦を繰り広げながら、王者と2人で今回の顔合わせを何度も「ドリームマッチ」と表現してきた。他カードとの差別化を図ってきた。

 -WWEで戦って心境の変化はあるのか

 中邑 WWEは非常に選手が多いし、世界中から見られている。どこで他レスラーと差別化を図るのか。うまいにしろ、へたにしろ、強さにしろ、弱さにしろ、それは非常に意識している。

 -レッスルマニア仕様のコスチュームは特注

 中邑 かなりの時間とお金をかけましたね(笑)。日本で今まで作っていただいた方が辞めてしまって。しばらく米国でお願いしたのですが、クオリティーの差が顕著で…。なので日本で作ってもらえる方を探して米国まで来てもらったりした。自分のテーマに沿ったものがちゃんと作れていると思う。内容を含めてレッスルマニアに出場するすべての選手に勝ちたいなと思っていますね。

 -日本人初のWWEヘビー級王座戴冠のチャンス

 中邑 (獲得すれば)確実に爪痕は残せるかなと思いますね。結果については、勝ちたい。勝とうと思っているのはもちろんだし、それ以上に『ナカムラシンスケ』を全世界にアピールしたいと思っていますね。

 -会場には7万人以上が集結する。興行も5時間以上になる

 中邑 世界最大で、これ以上ないプロレスイベントという意味では、これくらいのボリュームが当たり前。試合は長丁場で、試合数もある。かつ総合的な演出もハンパない。全体を通して見てしまうとタンパクになりがちだけど、そこでどうやってエッジを効かすかみたいな感じですかね。こうな風に言ってはいけないけれど、だれちゃうのは当たり前。その中で『世界中の目を覚ます』というものを求められていると思います。

 1964年2月、ジャイアント馬場がWWWF王者ブルーノ・サンマルチノに挑戦してから54年以上が経過。79年11月にアントニオ猪木がWWF王者ボブ・バックランドを下してベルト奪取したことはWWE史では未公認となっている。誰も手に届かなかった世界が認めるベルト。中邑は最高の舞台で日本人初の快挙を成し遂げ「RIGING SUN」として世界に光を放つつもりでいる。

【取材・構成=藤中栄二】

 

 ◆日本人のWWEヘビー級王座挑戦 日本人として初めて前身WWWFに登場したジャイアント馬場が64年にWWWFヘビー級王者サンマルチノに挑戦。74年にストロング小林も同王者サンマルチノに挑んだ。80年、キラー・カーンが前身WWF王者バックランドに挑戦。その後、TAKAみちのくが1回、TAJIRIも2回、WWEヘビー級王座に挑戦したが、いずれも敗れた。WWF時代の79年、アントニオ猪木がヘビー級王座を獲得したものの、現在のWWEは歴代王者に未公認。同年11月、新日本プロレス徳島大会で王者バックランドを下し、日本人初のWWF王座を獲得した猪木はWWE殿堂入りも果たしているが、公式サイトに王者として掲載されていない。