ボクシングIBF世界スーパーライト級14位平岡アンディ(23=大橋)が、米プロモート大手トップランク社と契約を結んだことが26日、発表された。

WBA世界ミドル級王者村田諒太(帝拳)、2団体統一バンタム級王者井上尚弥(大橋)らに続く契約となり、日本王座獲得などの主要実績がない段階での契約は異例だ。30日(日本時間12月1日)にはボクシングの聖地ラスベガスでロヘリオ・カサレス(29=米国)とのスーパーライト級8回戦で米デビューする。

   ◇   ◇   ◇

異例の抜てきとなる。トップランク社との契約締結が発表され、平岡は「まさかこんなに早く素晴らしいプロモート会社と契約できると思わなかった。ここからもっと気を引き締めていきたい」と意気込んだ。17年に日本ユース・スーパーライト級王座を獲得しているものの、日本、東洋太平洋王座獲得などの主要実績がない段階での契約は異例となる。

30日には米ラスベガスのコスモポリタンで米デビュー戦を控える。カサレス戦に備え、24日に父のジャスティス・トレーナーとともに渡米した。14年の東日本ライト級新人王獲得後、約1年半ほど米国に武者修行。ロサンゼルスの6階級制覇王者パッキャオ(フィリピン)が練習するジム、ラスベガスにある元5階級制覇王者メイウェザーのジムなどでスパーリングした経験がある。

平岡は「大橋会長から米デビューがラスベガスと聞いた時、叫びたいぐらいうれしかったです。気持ちは久しぶりに故郷に戻るような、そんな気分です」と気合を入れ直した。

ガーナ人の父、日本人の母を持つ。所属ジムの大橋秀行会長(54)によると、米国ではバスケットボール八村塁、女子テニス大坂なおみに続き、ボクシング界で活躍できる「ユニコーン」と報じられているという。ユニコーンとは神話的な幻獣になぞらえ、成功したアスリートの希少性を表現するもの。平岡は「ボクシング界のユニコーンと言われるように持っているものを全部出したい」と強い決意を口にした。

プロ戦績は14勝(9KO)無敗。サウスポースタイルからのアウトボクシングが基本だが、強烈な左ストレートも兼ね備える。大橋会長は「トップランクの(ボブ・)アラムCEOがアンディの素質に期待してくれている。日本人にはないタイミング、バネの利いたパンチングがある」と潜在能力の高さを強調。平岡が「100%以上の力が出せそう」というラスベガスで米本格進出の1歩を踏みだす。【藤中栄二】

<平岡(ひらおか)アンディ>

◆生まれ、タイプ 1996年(平8)8月8日、横浜市生まれ。身長180センチの左ボクサー。

◆アマ歴 元アマボクサーでガーナの五輪強化選手だった父ジャスティス氏の指導で4歳から競技を開始。10歳から花形ジムに通い始める。

◆プロ歴 横浜高時代の13年2月に花形ジムからプロデビューし、4回TKO勝ち。14年には東日本ライト級新人王。大橋ジム移籍後の17年に初代ユース・スーパーライト級王者に。

◆陸上競技 中学からボクシング練習の一環で陸上競技を開始。全国中学大会で男子3000メートルで6位入賞。高校時代も国体出場。

◆テレビ出演 14年までTBS系で放送されたバラエティー番組「さんまのスーパーからくりテレビ」にはボクシング少年・アンディ君として出演。大橋会長は「当時は気弱な少年の設定でしたが、今は強気なボクサーです」。