エースが初戦で姿を消した。

ニュージャパンパンカップ(NJC)2回戦で、1回戦シードのNEVER無差別級王者・棚橋弘至(44)がジェイ・ホワイト(28)に敗れた。

ホワイトのブレードランナーをかわし続け、ドラゴンスクリューで応戦したが、最後に豪快に決められ、リングに沈んだ。肩を担がれ、バックステージに現れた棚橋はそのまま床に倒れ込み「あー、クソー。頼りにならんな、どこぞのエースは」と叫んだ。

自慢の腹筋は“完成”する前に敗れた。この日もいつものようにゴング前に肉体美を披露。未完成ながら鍛え上げられたムキムキの体に場内から拍手が沸き起こる。これには横で見ていたホワイトも負けじとマッスルポーズを見せつけた。その後はリングサイドの外道にも見せて挑発。これがホワイトの怒りを買い、場外で、セコンドの辻とともに痛めつけられるなど、防戦が続いた。中盤ではホワイトに腹の肉をつままれる屈辱も味わった。終盤ドラゴンスクリュー合戦を制し、流れをつかみかけたが、一撃で仕留められた。

優勝すれば、新設された世界ヘビー級への挑戦権が得られるとあって、どうしても手にしたいタイトルだった。NEVER王者が取ることで「ベルトの価値を上げたい」と話していたが、初戦で打ち砕かれた。

チャンスがあれば貪欲にベルトを狙いに行く棚橋。先月、KENTAがモクスリーに挑戦したIWGP USヘビー級選手権試合を解説した際には「(今度は)俺が行くかなあ。どこかで発信しておかないと」と意欲も見せていた。08年以来となる、NJC3度目の優勝は持ち越しとなったが、コロナ禍の中、棚橋の盛り上げは新日本に欠かせない。「こういう時に力を発揮してみんなを安心させて、導いていくのがエース」。常々言い続けてきた言葉を胸に前に進み続ける。「NEVER GIVE UP」。NEVERのベルトを肩にかけ次なる戦いに向かった。【松熊洋介】