ボクシングWBAスーパー、IBF世界バンタム級王者井上尚弥(28=大橋)が15日、WBO世界同級タイトル戦生中継のゲスト解説後、WOWOWのインタビューに応じた。カシメロの4度目の防衛で終わったリゴンドー戦、今秋開催予定の次戦、さらにはスーパーバンタム級への転向について口を開いた。

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-カシメロ-リゴンドーを見た感想は

井上 カシメロと戦いたいと思っていたので、結果としては良かったんじゃないですかね。あの内容でリゴンドーの勝ちと出るよりは。

-戦前はどんな展開と結果を予想していましたか

井上 カシメロが勝つならKO、リゴンドーが勝つ場合はKOと判定の両方があるかなと思っていました。カシメロが判定で勝つというのは予想外でした。

-カシメロの勝因は

井上 やることをやっただけという感じなので、勝因というほどのものはないのでは。あとは運でしょうね。ジャッジの見方も割れたわけですから。

-カシメロが勝ち、モチベーションは上がったか

井上 その方が盛り上がるじゃないですか。リゴンドーだと盛り上がらないし、自分のモチベーションも上がらないだろうし。

-リング上でカシメロが名前を挙げ、挑発していた。「このヤロー」という感じか

井上 そんな気持ちしかないですね。これで戦う可能性が高くなったんでね。

-たびたびの挑発は気になりますか

井上 いい影響しかないですよ。こっちのモチベーションを上げてくれるし、それに相手が勝手に盛り上げてくれるので(笑い)。

-カシメロとはどう戦うつもりですか

井上 きょうの試合を見てもカシメロのイメージは変わらないし、どう戦うかということは試合が決まってから考えます。

-カシメロは仕掛けてくるでしょうね

井上 もちろんそう出てくるでしょう。だったらこっちが迎え撃つだけ。倒されるかも分からないし、こちらが倒すかもしれないし。それは戦ってみないと分からないですね。

-井上選手の口から仮の話としても「倒されるかもしれない」という言葉を初めて聞きました

井上 それだけ迎え撃つ準備ができている、逃げないよということです。

-話がそれるが、恐怖心と向き合うことはあるのか

井上 思い切り向き合うのは試合の前日ですね。それまでは自分が勝つイメージをつくったり、よくないイメージをしつつ試合を楽しみにして仕上げているので。だから本当の恐怖感というのは試合の前日、計量が終わってから寝る前ですかね。相手が誰だからというのは関係なく、勝負の世界なので。

-ドネアとの再戦という可能性もあるわけで、前回(19年11月、井上が12回判定勝ち)とは違う展開になると思うか

井上 あのときは自分も2回に目を痛めたし、1度戦ったことでドネアもこちらの手の内が分かっているので戦い方が変わるでしょうね。手の内が分かっている点は同じですが、それがプラスに作用するかどうかとなると戦ってみないと分からないですね。ドネアも誰かと2度戦ったことはないのでは。

-バンタム級を卒業するタイミングは頭にあるか

井上 バンタム級の4団体王座を統一してから考えることなので、その時にならないと分かりませんね。半年後、1年後のことをいま決めてもなんともいえないじゃないですか。いまはバンタム級がちょうどいいし、年内に1試合、来年の春に1試合して、そこで自分の体がどうなって(大きくなって)いるか、それ次第です。

-スーパー・バンタム級に上げてからのプランは

井上 全然、何も決まっていないので。スーパーバンタム級の世界王者もチェックしていないし、いまはバンタム級の2試合しか頭にありません。

-現時点で、100点満点で自己採点は何点か

井上 引退してからじゃないと決められないかな。振り返って「あのときが何点だったかな」とか。もしも自己採点が80点だとしたら、伸びしろが20点しかないじゃないですか。そんなことは自分では決められないですね。

-いまの自分に足りないものがあると感じるか

井上 少なからずありますが、具体的に何かというのは見当たりません。スパーリングをやっていても、いろんな相手とやりながら新しい発見ができる。いま、この瞬間、これができたなというのがあるんですよ。瞬間、瞬間、自分が思ったことができたと。それって、結構楽しいのです。

-追われる立場ということは意識するか

井上 そもそも追われる立場という意識がないんです。だって次の2試合の相手は他団体の王者になるわけで、もしもスーパーバンタム級に上げたとしたら、その階級の王者がいる。だから自分は追う立場じゃないですか。

-いまはジムワークをしている状況か

井上 試合が終わって1カ月半、次の試合が決まっているわけではないので、いまは基礎トレーニングで全体の底上げをして段階です。夏場は暑いので日が落ちてから走っています。そうしないと質のいいトレーニングができないので。動きが切れる状況にするためジムではクーラーをつけて練習しています。

-次戦の時期については

井上 相手に関してはドネアかカシメロで、年内の対戦で交渉中というところです。場所は日本かアメリカになりそうです。

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