プロボクシング元5階級制覇王者のフロイド・メイウェザー(45=米国)が、総合格闘家の朝倉未来(みくる、30)に格の違いを見せつけた。パンチのみのスタンディングバウト3分3ラウンドのエキシビションで対戦。2回終了間際に右ストレート1発でダウンを奪い、TKO勝ちした。

1回開始早々に朝倉の左ストレートをボディーに浴びた。しかし、高いガードとボディーワークで有効打を許さず、2分すぎからプレッシャーをかけながら、左右ストレートを畳み掛けた。2回に入るとじわじわを前進して、スピードに乗った有効打を再三ヒット。朝倉の左右フックを浴びるシーンもあったが、終了間際に右ストレートを打ち込んで試合を終わらせた。まさしくカミソリパンチだった。

試合後、メイウェザーは「今回、相手が何発か当ててくれてそれが盛り上がるきっかけになったので、いい内容だったと思う。自分としては今回あまり練習していなくて準備もしていなかった。どんな試合になるか分からなかったが、相手のおかげでいい試合になった。今回はエキシビションなので、真剣にはとらえず、とにかくリラックスしてこの場を楽しんでいます」と、余裕の表情で振り返った。

17年8月に総合格闘技のUFC王者マクレガーに10回TKO勝ちを収めて、50戦全勝(27KO)という完璧な戦績を残して、ボクシング界から引退した。あれから5年を超えるの歳月が流れ、45歳になったレジェンドは、フラッシュのような全盛期のスピードこそ影を潜めたが、定評のあるディフェンス技術とパンチを打ち込むタイミングは一級品だった。

前日24日の会見で朝倉戦について「自分にとっては遊びだ」とうそぶいた。今回の一戦をあくまで『エンターテインメント』と強調。「実際に朝倉の試合を見たこともないし、どんな体重かも知らない」「自分はユーチューバーで有名になったわけではない。ボクシングというスポーツに1987年から一筋でささげてきた」と、強い口調で格の違いを訴えた。

トレーニングは今も続けているという。RIZINの榊原CEOも「日本に来てからも夜中1時くらいから練習を続けている」と話していた。22日の公開練習では、正確無比なミット打ちと、サンドバッグ打ちを披露。ジムワーク後は「練習を実際に見てスピードやテクニックなどすべてが次元が違うということが分かってもらえたと思う」と満足げに語っていた。

ボクシングでは名選手とのスーパーファイトで勝ち続けて、総額8億ドル(約1000億円)以上を稼ぎ、『マネー』の異名を取った。引退後も『不敗で5階級制覇』という金看板と知名度に、世界各地のプロモーターや格闘技団体からオファーが続き、パンチのみのスタンディングバウト限定のエキシビションでリングに上がり、不敗を続けている。

「11月にはドバイでエキシビションをやるが、その後、23年は再び日本でエキシビションをするために戻ってこれることを楽しみにしています」とメイウェザー。最強神話は、まだ終わりは見えない。