1日に心不全のため、79歳で死去した元プロレスラーのアントニオ猪木さんの通夜が13日に行われた。

通夜開始時刻の午後6時前。猪木さんとのお別れを惜しむかのように、都内に降っていた雨の勢いが強まった。涙雨だったのか。

会場には猪木さんの弟子の藤波辰爾や前田日明氏を始め、オカダ・カズチカ、棚橋弘至ら現役の新日本プロレスのレスラーも終結。タレントのデヴィ夫人やCHEMISTRYの川畑要、政界からは野田元総理らも訪れ、参列者は100人を超えた。

戒名は「闘覚院機魂寛道居士(とうがくいんきこんかんどうこじ)」。

猪木さんの「闘魂」、本名の「寛至」、そして引退試合で披露した詩「道」が刻まれた。

祭壇は猪木さんのカラーである赤色のバラで装飾され、遺影は赤いネクタイを締めたスーツ姿の写真。左手にはタイガー・ジェット・シンに卍固めを決める姿、右手には代名詞の「1、2、3、ダーッ!」ポーズを決める姿の猪木さんが参列者を見つめていた。

喪主を務めた猪木さんの実弟・啓介さんから順に焼香が行われた。米国在住の娘・寛子さんも参列した。

藤波は、通夜の後に取材に応じた。どんな言葉をかけたか? という問いかけには10秒間の沈黙。そして「遺影を見つめるのが精いっぱいだった。どこからどう問いかけようかと、頭の中が整理がつかなかった」と、神妙な面持ちで話した。

「脱猪木派の急先鋒(せんぽう)」とも言われた棚橋は、「(猪木さんの格闘技界への進出は)プロレス界を思ってのことだったと、今となっては思う。みんなで頑張って盛り上げた新日本プロレスにもう1度、猪木さんをお迎えしたかったという思いはあります。残念です」と悼んでいた。