プロボクシングWBA世界バンタム級王者の井上拓真(27=大橋)が約3年5カ月ぶりの世界王座返り咲きを「スタートライン」と表現した。8日に東京・有明アリーナで開催された元WBA世界スーパーフライ級王者リボリオ・ソリス(41=ベネズエラ)とのWBA世界バンタム級王座決定戦で判定勝ち。19年11月のWBC世界同級暫定王座陥落以来の世界ベルトを手にしてから一夜明けた9日、横浜市内の所属ジムで記者会見に臨んだ。

前4団体統一同級王者で兄の尚弥(29=大橋)の全ベルト返上を受けて巡ってきたチャンスをつかんだ井上は「気分的にはほっとしている。兄が手放した4団体のベルトの1つ目が取れ、スタートラインに立てた。4団体統一を目指して頑張ります」と宣言。モチベーションを保つため、高いハードルを掲げた。弟も続くことができれば、世界初となる兄弟の4団体統一王者となる。

5回にソリスのヒジが顔面に直撃し、左目尻をカット。7針縫うほどの裂傷だった。試合途中にソリスの頭部周辺を殴った影響で右拳も痛めたという。「早く治して次に向かって練習したい。自分が強くなるために上を目指していきたい」と決意も新た。父真吾トレーナー(51)は「もっとダメージを与える、ヤマ場を作るなど、みんながぐっとくるような引き出しを増やしていければ」と課題を挙げることも忘れなかった。

所属ジムの大橋秀行会長(58)は「バッティングで目の上を切った中、ペースを狂わすことなく、自分のペースで勝てたことは良い経験になった」と高く評価。初防衛戦については今秋を計画し、WBAから指示された挑戦者との指名試合になると明かした。