重岡兄弟はサウスポーからの左ボディーブローが持ち味。強くて、すごくうまい。その強力な武器を遺憾なく発揮した。銀次朗は初回にダウンを喫したが、このパンチを打ち続けてペースを奪い返し、KO勝利につなげた。最初は大振りが目立った優大も、最後はレバーブローで仕留めた。予想通りの勝利だった。

ミニマム級の世界戦で自分から打ちにいって倒すのは難しい。KOはカウンターかボディーブローだろう。その意味で重岡兄弟はパンチが強い上に、ボディーブローもカウンターもうまい。倒せる3要素がそろっているので、最軽量級でも人気のある世界王者になれるはずだ。正規王者にも圧倒して勝てると思う。

銀次朗の試合ではビデオ判定にも好印象を持った。ダウンがバッティングによるスリップと判定が覆った。以前であれば間違ったまま続行されていたところだ。特に軽量級はスピードがあり、踏み込みも早いので一瞬の判断が難しい。公平な判定は選手はもちろん、レフェリーにとっても頼りになる。IBFが取り入れたのは正解だったと思う。(元WBC、WBA世界ミニマム級王者)