関脇経験者の東十両3枚目安美錦(40=伊勢ケ浜)が連敗を11で止める2勝目を挙げた。

幕内経験者の荒鷲に対し、右上手でまわしを引き、頭をつけて我慢。最後は投げの打ち合いを制した。1分近い相撲とあって、支度部屋に戻ってもしばらく息は上がったまま。「何とかまわしを取ろうと思った。体ではなく、気持ちで(土俵に)上がった」とホッとした表情を見せた。

長いトンネルだった。過去最長連敗は幕内の東前頭4枚目だった04年春場所の10連敗。「連敗をこんなにするのは初めての経験だから、どうしていいかわからなかった。体調が悪くてダメなわけじゃないから、ストレスがたまった。不思議な感覚だった」という。

40歳の大ベテランとあって、負けが込むと周囲が去就を気にして、どうしてもざわつく。そんな中で「辞めていく人が多かった。稀勢の里、豪風の思いを勝手に力に替えてね。(同部屋の)照強も励ましてくれて。心配掛ける側になっちゃダメだね」。それでも、土俵への意欲がうせたわけではない。「関取を10年以上やるっていうのは大変なもの」と言いつつ「2番(2勝)でどう? 残れるかな?」-。千秋楽を残し、2勝12敗の大負け。十両残留は幕下から上がってくる力士など周囲との兼ね合いになりそうだが「勝ち負けを考えても仕方ない。明日もいい相撲をとることだけを考えるよ」と残り1番にベストを尽くす意欲を見せた。