大関貴景勝(24=千賀ノ浦)は優勝こそ逃したが、大関としては自己最多となる12勝目を挙げて15日間を締めくくった。

直前の取組で関脇正代が翔猿を破って初優勝を決め、優勝の可能性が消滅した中での一番だった。結びで朝乃山との大関対決。まわしを求める朝乃山を厳しい左おっつけで遠ざけると、最後は倒れ込みながら押し倒した。正代が勝った際、土俵下に座っていた貴景勝も一瞬天井を見上げたが、土俵に上がれば集中力は高まっていた。

取組後のリモート取材では、開口一番「悔しいっす。自分の実力がまだまだない。実力があれば優勝する」と悔しさをにじませた。出場最高位として重圧がのし掛かる中、千秋楽まで優勝争いに絡んだが「千秋楽まで自分が1歩後退している時点で悪い。優勝するなら、そこまでにもっといい成績を残すべきだったと思う」と猛省した。

7月場所は左膝の負傷で途中休場したが、休場明けとなった今場所は突き押しの威力が光り、好内容で白星を重ねた。「この15日間で自分の中でつかんだ部分がある」と確かな手応え。

正代の大関昇進が決定的となり、来場所は貴景勝、朝乃山、正代の3大関となる。大関としては“先輩”。綱取りを目指す24歳は「大関である以上は優勝しかない。11月場所でいい成績を残せるように、自分と向き合って頑張りたい」と、来場所に向けて気持ちを切り替えた。