西前頭6枚目の阿炎(27=錣山)が、初日から4連勝を飾った。

【ポケモン懸賞旗】3日目と4日目の土俵に登場したポケモンたち/写真特集>

長い手足を生かした突き押し相撲で千代の国を押し出し。日本相撲協会のガイドライン違反による出場停止処分から復帰後、改心の相撲で勝ち越しを重ね、再入幕の先場所は優勝次点の12勝。6年連続で初優勝の初場所で、主役を狙う。横綱照ノ富士は宇良に攻め込まれながら突き倒し、大関正代は若隆景の勇み足で星を拾った。

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阿炎の長い手足は最大の武器だ。長い上に速射砲のような突っ張りが繰り出されると、千代の国はたまらず土俵を割った。

師匠の錣山親方(元関脇寺尾)がNHKで解説を務めた。「かなり落ち着いて土俵に上がれる性格ですからね。上ばかり突くから残される。腹も突けばいい」と指摘。それに対し、阿炎は取組後に「左がうまく使えていない。左を使えれば、そういうこともできると思います」と語った。

20年7月場所中に日本相撲協会のガイドライン違反が発覚し、同場所を途中休場、翌場所から3場所出場停止などの処分を受けた。昨年春場所、幕下下位からの復帰では、改心したいちずな相撲道を突き進み番付を戻した。再入幕の先場所はいきなり優勝次点の12勝。素質の高さを示した。

場所前。九州場所での活躍を振り返り、「自分の弱さを知った場所。それがよかった。自分的にはまだまだ変われると思っている。もっと変わって、いろんな人が認めてくれる人間になりたい」と話している。一時は現役引退も覚悟した。そこから師匠をはじめ、周囲の後押しがあって、帰ってきた土俵。感謝の思いだけが阿炎を突き動かす。

夫人と1女の家族がいる。「幕内に定着するまでは」と自身は部屋で暮らし、夫人は実家の別居を続けてきた。先場所後にようやく家族がともに暮らす新居探しを始めた。そんな家族の存在も阿炎を突き動かす。6年連続で初優勝力士が誕生している初場所。今年は阿炎がその主役を狙う。【実藤健一】

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