優勝争いで西前頭4枚目の隆の勝(28=常盤山)が単独トップに立った。

同じ平幕でトップを並走していた、西前頭15枚目の一山本(28=放駒)が敗れ3敗目。唯一の2敗で臨んだ隆の勝は、おっつけから右を差し豊昇龍を組み止めると、しばし土俵中央で膠着(こうちゃく)状態が続いた。我慢比べのような時間が過ぎ、機を見て右から下手投げを打った。豊昇龍が外掛けでしのごうとしたが、委細構わず体を預け、なぎ倒すように豊昇龍を寄り倒した。

隆の勝の勝因に、日本相撲協会の八角理事長(元横綱北勝海)は「我慢」を強調した。「我慢したね。右を差して強引に出ると(豊昇龍に)上手投げがあることを分かっていた。我慢して左から、おっつけるようにしていた」。勝負を急がず、相手の攻めを読みながら止まり、タイミングを見計らって勝機を逃さなかったことを評価した。

単独トップに立って、さあ残り4日。夢の初優勝に向けては「気持ちの持ちよう」を同理事長は挙げた。「全勝で行かなければと考えてしまうと受け身になってしまう。『3勝1敗でもいい』といった気持ちの持ちようでしょう。それで結果的に4勝0敗ならいいだろうし。横綱、大関ではないのだから、思い切っていけばいい。絶対に勝たなければ、ではなく、自分の力を出し切ればいいぐらいの気持ちでね。今日でも体は動いているんだから」と、気楽に臨むことを勧めた。