9月25日。共に37歳10カ月の“鉄人”が、大きな偉業を成し遂げた。

1人は、東京・両国国技館で行われた大相撲秋場所を13勝2敗の好成績で制した玉鷲(片男波)。1差で追う高安との直接対決を押し出しで制し、19年初場所以来2度目となる賜杯を抱いた。12年夏場所を優勝した旭天鵬の37歳8カ月を抜いて、昭和以降の最年長記録を更新した。

もう1人は昨年の東京オリンピックで2連覇を飾り、男子マラソン界の絶対王者として君臨するエリウド・キプチョゲ(ケニア)。ドイツ・ベルリンで行われた「ベルリンマラソン2022」に出場し、自身の持つ世界記録を30秒更新する2時間1分9秒でゴールした。

玉鷲は1984年11月16日生まれで、一方のキプチョゲは同年11月5日生まれ。誕生日はわずか11日しか違いがない。東京とベルリンという約9000キロ離れた場所。37歳10カ月の2人が同じ日にめざましい活躍を見せたことに、一夜明けた26日にオンライン会見に臨んだ玉鷲もやや興奮気味だった。

キプチョゲについてを尋ねられると「知らなかったですね。すごいすね」と感心しきり。続けて「やっぱ同じ気持ちじゃないですかね。若手に負けたくない、熱い気持ちなんじゃないですかね。年とか関係ない気持ち。本当におめでとうございます! という感じです」とたたえた。自身も「まだまだ元気です」と全く年齢を感じさせない。キプチョゲら他のスポーツ界の同世代のアスリートの活躍に刺激を受けながら、今後も奮闘していく。【平山連】

◆玉鷲一朗(たまわし・いちろう=本名バトジャルガル・ムンフオリギル)1984年11月16日、モンゴル・ウランバートル生まれ。片男波部屋。04年初場所初土俵。08年初場所新十両。同年秋場所新入幕。15年春場所新小結。17年初場所新関脇。新型コロナウイルス関連を除けば初土俵から休場が1度もなく、通算連続出場1463回は史上3位。優勝2回。殊勲賞2回、敢闘賞1回、技能賞1回。得意は突き、押し。189センチ、174キロ。

◆エリウド・キプチョゲ 1984年11月5日生まれ、ケニアのナンディ・カウンティ出身。5000メートルで03年世界選手権パリ大会金メダル、04年アテネ五輪銅メダル、07年世界選手権大阪大会銀メダル、08年北京五輪で銀メダル。12年からマラソンに転向し、16年リオ、20年(21年開催)東京で金メダル。167センチ、52キロ(22年東京マラソン時)。