第10回AKB48世界選抜総選挙が16日、愛知・ナゴヤドームで開催され、1位松井珠理奈(21)に続き、2位には地元のSKE48須田亜香里(26)が入った。“総選挙の申し子”として年々着実に順位を上げ、自身9回目の出馬で、頂の手前にまでたどり着いた。史上初のSKE48でのワンツーフィニッシュで、グループの10周年イヤーに花を添えた。

 SKE48と名古屋に歓喜の夜をもたらしたのは、須田の大躍進だった。「本当に私が一番ビックリしてます」。開口一番、満面の笑みで言った。1位に届かずも、発表された瞬間も、隣に座る松井が泣き崩れると、笑顔で抱き上げた。昨年から倍以上に伸ばした15万票超え。夢のような地元でのSKE48でのワンツー。初めて1位を目標に掲げて挑んだ総選挙だが、充足感が勝っていた。

 ほかのV候補は、全員がセンター経験者。須田は「私は全く最初から期待されず、デビューから3年以上も劇場公演の一番後ろの端っこで、ストレスフリー、プレッシャーなしでここまでやってきました」と、ペロリと舌を出した。

 ただ、この半生こそが須田だけの、自らで切り開いたサクセスストーリーだ。「ステージの一番端っこからスタートした私でも、よじ登れば、こんなに高いところまで来られるんだということを、頑張るメンバーたちに証明することができたらいいな。そう思って、私は1位を目指すと言わせてもらっていました」。雑草魂の矜持(きょうじ)だった。

 「ステージの端にいる子でも、ブスでも、運営に押されなくても、頑張れば夢をつかまえる。なぜこのルックスでここまで上がってきたんだという世間の皆さんの疑問を糧に、たくさんのメディアに出演させてもらいました」。今やAKB48グループでは、指原に次ぐ年間100本以上のテレビ出演で、お茶の間への認知度も確実に高めてきていた。

 「努力は必ず報われる」。高橋みなみが説いたグループの家訓を体現する須田は、26歳でもまだ天井知らずの進化を続ける。徳光和夫から「何歳までアイドルを?」と尋ねられると「えーっ、できたら30歳まで」と照れた。アヒルはもう、とっくに白鳥。まだまだその優雅な舞いでファンを魅了し続ける。【瀬津真也】