SKE48須田亜香里(30)が、今日24日に愛知・日本ガイシホールで卒業コンサート「君だけが瞳の中のセンター」を行い、11月1日にグループを卒業する。真っすぐに向き合ってきた13年のアイドル人生を振り返る「須田亜香里の歩き方」最終回(第3回)は、バラエティーでの活躍や今後について。そして須田亜香里にとってアイドルとは-。そこには、13年の矜持(きょうじ)が詰まっている。【取材・構成=大友陽平】

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選抜総選挙での躍進もあり、個人でバラエティー番組にも出演するようになった。13年にテレビ朝日系「関ジャニの仕分け∞」内の「柔軟女王No・1決定戦」では、女王に輝いた。

「私がバレエをやっていて体が柔らかそうというので、たまたま番組の方の目に留まって出たら、優勝して…という流れで、その後も企画のたびに呼んでいただいたことがきっかけでした。当時は毎回チャレンジする度に感想とか意気込みを聞かれるので、『テレビで使いやすい言葉を言わなきゃ!』って、常に思い付いたことをメモして、力強そうな言葉を10個ぐらい用意して臨んでました」

MCやコメンテーターの役割を求められる時もあれば、時にはパンティーストッキング相撲や鼻フック、脱毛ワックスで鼻毛をごっそり抜く…など、体も張ることもある。「NGなしアイドル」という異名もついた。

「全部、断る理由がなかっただけですね(笑い)。あとは楽しいからやっちゃうところもあります(笑い)。みんなが笑顔になれると思った方向に私もいきたいんです。目の前の人とただ向き合って笑っていたいということしかなくて、今はロケ番組とかでも、思ったこと、見たもの、感じたものを素直に表現することだけに徹してます」

1つ1つのことに手を抜かない。1つ1つのことに向き合う。紆余(うよ)曲折、時には落ち込むこともあるが、アイドルとしてもバラエティータレントとしても、1人の人間としても…。「アイドルとは…“人間関係”ですかね」。そこに、須田亜香里の矜持がある。

「自分! 自分! という時期もありましたけど、人と真摯(しんし)に向き合えるか。メンバー、運営やスタッフ、ファンに対しても、人と真摯にどうやって向き合うかだけが、すごく大事だったと思うんです。自分勝手にやってるのもいい刺激にはなるんですけど、人間関係を大切にするようになってからの方が、ファンの方とも、メンバーとも、スタッフさんと向き合っていても、一瞬一瞬がすごく濃くて、幸せが大きいです。ファンの方との向き合い方も、自分の中ではファンの“皆さん”と向き合ってるんじゃなくて、“1人1人”と向き合うことをすごく大事にしてきました。ファンの方は『僕なんて大勢の1人だから…』って思っちゃうかもしれないけど、会える時も会えない時も好きでいてくれたり、お手紙を書いてくれたりって、すごく愛してくれていないとできないことです。私は芸能人とか誰かのファンになったことがないし、自分のために時間使っちゃうなって(笑い)。きっとこれからも、そのアイドルでの経験があるからこそ、今応援してくれてたり、きっとこれからも愛してくれるであろう人のことは、一生幸せにしてあげられるように、私なりに真摯に向き合って生きていきたいなと思っています」

13年のアイドル人生も、区切りが近づいてきた。「その先」にも目を向けている。

「今まで以上になんでもやりたいなって思っています。卒業したら、例えば番組でも、恋愛トークにもっと対等に参加できるのかな? と思いますし。逆に1人の女性としては、30歳まではアイドルとして徹底した時間に使ったわけです。ほどほどに恋をする女性になりたいです(笑い)。恋多き女性になるのはちょっと違うのかな? と思って(笑い)。だから、ほどほどに(笑い)。ちゃんと恋愛の失敗もしたいです。自分がどういう人間なのか、ちゃんと知りたい。どんな人が好きなのか、どんな人と相性がいいのか、どういう人いると落ち着くのかとかも分からないので、まずはそれを知りたい。それも確かめてみたいですね(笑い)」

最後に聞いた。SKE48に入って、アイドルになって…「青春できましたか?」

「はいっ! できました!」

そう曇りなく、すがすがしく答える姿こそ、須田亜香里が歩んできた道だった。(おわり)

○…10月5日発売のSKE48の最新シングル「絶対インスピレーション」には、卒業曲「私の歩き方」が収録される。ミュージックビデオ(MV)では、「パプリカ」などで知られる辻本知彦氏が振り付けしたコンテンポラリーダンスが象徴的な作品に仕上がった。

「私が人生の全てを見せて、感謝できる内容ってなんだろう? って思った時にコンテンポラリーダンスを踊りたい! って思いました。バレエも13年間やっていて、それは親に感謝したい経験だし、SKEに入ってからの約13年の全部の経験を生かせるものにしたいって。今までの自分の集大成をもって『こんなことできる人なんだ』という名刺にできるMVになっていると思います!」